2015年2月_私の生きる場所

それは日本の雪国、朝日町

~これは遙か遠い北国の昔々のお話です。それは凍えそうな真冬のことでした。ある少女が病気の母のために夏にしか採れない薬草を、雪深い森の中に探しに行きました。行けども行けども雪野原で、少女はすっかり疲れてしまい倒れそうになったその時、ふと前を見るとそこにちらちら灯る小さな篝火が見えました。そこには若者から白い髭を蓄えたおじいさんまで全部で12人。皆で楽しそうに話していました。疲れ切った少女はやっとの思いで辿り着き、病気の母のために何としても薬草を持って帰らなければならないという話をしました。それを聞いていた一番長老のおじいさんが篝火を前に両手を広げ杖を掲げ、地面をも震わせる呪文を唱え出しました。すると辺り一面色鮮やかな花が咲き乱れ、その先に少女が探していた一輪の薬草が首を垂れて可憐に咲いておりました。~

真冬のそれも大寒の最中、現実に真夏の世界があることなど、昔々の人々は想像すらすることができなかったことでしょう。そして現代…。

真冬の日本を旅立ち7時間、30度を超える真夏のマレーシアに降り立ったのが1月30日。道行く人は半袖シャツに真夏の装い。空港に着いた途端にスコールの洗礼を受け、翌日は正に真夏の太陽が、頭の真上にぎらぎらと輝いていました。まさしくここは赤道直下の南国でした。

「この国は地震も台風も来ない、一年中常夏のとても過ごしやすい国ですよ」と地元の人は私たちに話しかけます。本当にそうかもしれないと思いつつ、2月1日夜遅く、夜間飛行で帰国の途に就きました。数時間後まだ夜も明けやらぬ早朝成田に降り立った私たちは、氷点下の真冬に戻され、はっと我に返り、しみじみと実感したところでありました。

「私は日本人なんだ。私の生きる場所は日本の雪国、朝日町なんだ」と。

広報あさひまち 2015年2月号より

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更新日:2019年03月29日