平成27年度施政方針

平成27年3月議会定例会

  • はじめに
  • 平成27年度の町政運営の基本方針
  • 平成27年度当初予算
    • 信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』
    • 安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』
    • 安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』
  • 町民生活と地域経済を守る緊急対策
  • 時代に適応した、信頼される行政の確立
  • 最後に
  • 施政方針とは

 本日、朝日町議会3月定例会の開会にあたり、議員各位におかれましては、町政の推進に日頃からご尽力いただいておりますことに対し、感謝を申し上げます。ここに、平成27年度当初予算をはじめ、重要案件のご審議をお願いするに当たり、町政に取り組む所信の一端を申し述べ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

 昨年は、日本創成会議が5月に公表した「消滅自治体リスト」が大きな反響を呼び、地方の人口減少問題が注目された年となりました。国において人口減少社会の克服、地方経済の再生を骨子とする『地方創生』が推進され、当町においても『まち・ひと・しごと創生総合戦略』の策定を開始したところであります。

 顧みれば、町長就任時に、「人口流出に歯止めをかけよう、何とかこの町を良くしよう、少しでも住みやすい町をつくりたい」という一心から志を高く町政執行に取り組んでいこうと決心いたしました。

 平成20年3月に、「いつの時代も自信と誇りを持ち、住みたい、ずっと住み続けたい魅力のあるまちをつくる」ことを目標に掲げた「第5次朝日町総合発展計画」を策定し、計画期間の折り返し点を迎えた平成24年度には、前期5年間における取組みの評価・検討を踏まえ、平成25年度から後期5カ年の取組みをスタートしたところであります。

 多くの自治体同様、残念ながら人口減少が続いている状況にありますが、減少率が鈍化している現状は一定の成果によるものと考えております。

 そうした中、平成26年度にブランド戦略の取り組みを開始し、平成27年度は総合交流拠点施設のオープンを控える重要な年として、総合発展計画のさらなる推進と町の直面する課題の解決に向け、優先度の高い施策を積極的に実施してまいります。

 さて、国内経済は、国の経済対策などにより雇用・所得環境の改善傾向が続く中、緩やかに回復基調にあるものの、地方においては景気回復の実感に乏しく、海外景気の動向によっては下振れのリスクも懸念されるなど、先行き不透明な情勢と認識しているところであります。

 また、昨年末には衆議院の総選挙が行われ、引き続き現政権が支持されましたが、国政における人口減少に歯止めをかけるための地方創生への取組や、消費税率の引き上げ、農業分野をはじめとして国民生活の幅広い分野に影響を及ぼす「環太平洋パートナーシップ協定」、いわゆるTPP交渉等、今後の動向について注視していく必要があります。

 こうした不安定な先行きの不透明感から脱しえない社会経済の状況は、町民生活に深刻な影響を与えていることは、明らかであります。当町は、昨年町制施行60周年をむかえました。新聞紙面一面を活用した斬新なメッセージは、果敢に挑戦する町民の決意であると内外から称賛をいただきました。

 地方自治のあり方が変わるなかで、その先の未来へ、「人口減少社会」という直面する課題解決を確実に成し遂げるため、やる気と挑戦の気持ちをもって取り組んでいくことが大切であると考えております。

平成27年度の町政運営の基本方針

 このような状況を考慮し、平成27年度の実施計画の基本方針を決定いたしました。基本方針につきまして、申し上げます。

特に重視すべきテーマ

(1)地域力

ア 未来を担う子どもたちの教育環境づくりの推進

イ 郷土愛を育むための環境づくりの推進

ウ 地域の特性を活かした信頼の地域づくり

エ 地域を支える人材の育成

(2)産業力

ア 豊かさを実感できる農業振興の展開

イ ものづくり産業の充実

ウ 観光・交流を推進するための体制整備

(3)定住力

ア 若者・子育て世帯を支える定住環境の整備

イ 生涯現役社会の実現

ウ いのちと暮らしを守る安全・安心な地域の構築

エ 循環型地域社会の構築

このテーマに沿った施策の実行により、「産業のブランド化や役場のブランド化を進め、定住環境や教育環境を研ぎ澄まして町全体のブランド化を推進することにより、町に引力を持たせ、選ばれる町を目指す。」このことを重点とし、町政運営に取り組んでまいります。

 あわせて、町民生活と地域経済を守る観点から、平成26年度補正予算、平成27年度予算と、切れ目なく連続的かつ積極的に施策を実行いたします。

平成27年度当初予算

 平成27年度当初予算について、申し上げます。

 産業のブランド化や役場のブランド化を進め、定住環境や教育環境を研ぎ澄まして町全体のブランド化を推進することにより、町に引力を持たせ、選ばれる町を目指すため、積極的な施策の展開を図り、また、一方では、財政の健全性を維持しながらも、積極的な予算編成に努めたところであります。

 なお、議会報告会により取りまとめられた要請書や公聴活動として行っている「町長と語ろう」で出された貴重な町民の声等に対しても配慮させていただいたところであります。

 以上の基本的な考えに基づき、第5次朝日町総合発展計画に掲げた3つの柱と、その推進のためのプロジェクトに沿って、平成27年度に実施する主要な事業につきまして、ご説明いたします。

信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』

 第1の柱であります、「信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』」につきまして申し上げます。

 1つ目は「みんなが主役で愛する地域をつくるプロジェクト」であります。

 「地域を支える人材の育成」として、「Newアクション応援事業」等、平成23年度から、取り組んでいる人材育成事業の支援内容を増額し推進いたします。

 「郷土愛を育む活動の推進」につきましては、地域の自発的な取り組みの視点に立って、町づくり・地域づくり事業をさらに推進いたします。

 自治公民館整備につきましては、新たに杉山公民館の建設へ支援してまいります。

 和合地区につきましては、地域づくりの拠点となる地域交流センター本体の建設が平成26年度に完了し、平成27年度は交流広場・防災拠点施設の整備に着手いたします。

 地域提案型交付金、除雪費支給事業の実施や、地域支援担当事業及び志藤六郎むらおこし基金を活用した地域のシンボルづくり事業につきましては、継続して実施し地域づくりを支援してまいります。

 2つ目は「みんなで育てる子ども成長プロジェクト」であります。

 各小中学校における子どもの実態に応じたきめ細かな指導のための経費の増額、学力向上対策への支援、英語指導助手による国際力の向上など、支援を強化してまいります。

 さらには、地域・家庭の教育力向上の支援、家庭・学校・地域一体の子育て推進、平成23年度に制定いたしました「あさひ教育の日」の事業推進に取り組んでまいります。

 また、安心して教育が受けられるための施設整備として、朝日中学校武道館天井改修を新たに実施してまいります。

安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』

 次に、第2の柱であります、「安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』」につきまして、申し上げます。

 1つ目は「こだわりのある農業をつくるプロジェクト」であります。

 高品質りんご生産緊急対策として、ワイ化促進事業を継続して実施するとともに、りんご生産者と市場関係者との交流をはじめ、りんご銘柄産地確立対策としての輸出推進など、確固たるブランド確立の取り組みを引き続き進めてまいります。

 「安全安心米」づくりに加え、「清流美人」等の米ブランド化の更なる確立、販売促進の支援、ブランド品維持対策として、朝日町ワインの原料となるぶどう生産の支援に加え、新たにアップルニュー豚のブランド維持の支援を実施してまいります。

 また、農業の後継者の育成と、若者・転入者・定年帰農者等の新規就農者へ対する支援を行い、「りんご」をはじめとする農産物が町のブランド商品として、将来とも安定して生産が継続されるよう、具体的な方策をさらに充実して進めてまいります。

 2つ目は「みんなが活躍するものづくりプロジェクト」であります。

 「産業まつり」への来客数が年々増加しております。町産業のPR、並びに、販売促進のため、参加事業所と協力し、更なる集客に取り組んでまいります。

 また、町内企業の支援として、中小企業大学校受講、海外研修事業、販路拡大事業、及び雇用対策事業に対する補助制度を継続して実施してまいります。

 商店街活性化対策といたしまして、10%プレミアム付き「朝日町お買い物券」の販売に対し補助を行います。

 地域資源をいかした産業創造への支援策として、「朝日町産業創造推進機構」をとおし、自然生態系を活用した農畜産物、加工品等の開発、販売先の確保などに取り組むとともに、6次産業育成に向けた支援等に取り組んでまいります。

 3つ目は「みんな温か交流・観光プロジェクト」であります。

 第5次朝日町総合発展計画の基本テーマともなる「交流」につきましては、「交流人口の拡大」を目指してまいります。

観光協会を母体とした事業展開のさらなる強化と10月にオープンする総合交流拠点施設の活用により、地域資源の活用と情報交流推進員等による情報の発信力を強め、もてなしの心を大切に持ち、そして町を訪れる人の増加を図り、交流を盛んにし、活気ある元気な朝日町を目指してまいります。

また、これらの取組みと併せ、地域のブランドイメージを高めるため、「朝日町ブランド化推進プロデユーサー」を中心とした、地域ブランド戦略を推進してまいります。

安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』

 次に、第3の柱であります「安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』」につきまして、申し上げます。

 1つ目は、「みんなで支えあう子どもいっぱいプロジェクト」であります。

 安全・安心で快適な子育て環境の整備といたしまして、子育て支援拠点施設「あさひ保育園」を中心とした多様な保育ニーズへの対応と、更なる保育内容の充実を図るため、運営母体の社会福祉法人「あさひ会」と協力し取り組んでまいります。

 さらには、安心して産み育てやすいまちを目指して、平成26年度に策定した「子育て支援事業計画」に基づいた施策の展開を図ってまいります。

 また、子育て家庭に係る経済的負担の軽減策として、3歳以上児で第2子以降の保育料の5千円定額化に加え、新たに第3子以降は無料といたします。中学生以下の医療費完全無料化等につきましては、引き続き支援してまいります。

 2つ目は「みんな達者でにこにこ元気プロジェクト」であります。

 老いても生涯健康な身体で現役で活躍できる人を増やすため、健康診断の受診者負担の軽減や啓発により受診率の向上を図るとともに、保健師による各地区への訪問指導はじめ、健康教室・相談指導業務を推進してまいります。

 また、地域医療の中核をなす町立病院の医療基盤の維持・強化のため、看護師等人材確保対策として、修学資金貸与事業を実施するとともに、国で示した操出基準に基づき、一般会計からの繰り出し補助を継続して実施してまいります。

 3つ目は「安らぎのある自然に優しいまちづくりプロジェクト」であります。

 災害に備える基盤整備や地域防災体制の確立であります。

 地震等自然災害から地域を守るため、各地区での自主防災組織による、有事の場合に備えた訓練や機材整備への支援等を継続して実施してまいります。

 万が一の火災発生時に備え、消防ポンプや消火栓等の消防施設設備及び防災行政無線の整備を推進し、消防力の維持向上に努めてまいります。

 また、新たに防犯灯LED化推進事業を実施してまいります。

 快適で多様な住環境の整備といたしまして、木造住宅の耐震診断の実施や、持家住宅建設奨励補助、木材製品利用住宅建設奨励補助を継続して実施いたします。さらに、空き家バンク制度を活用した空き家利用促進対策について、拡充して実施してまいります。

 安全で便利な交通環境の整備といたしましては、町民の足確保対策では、デマンド型乗り合いタクシー「あいのり号」を継続して運行いたします。

 高校生の通学支援といたしましては、山形市直行バス復路2便運行を新たに実施するなど、利便性の向上に向け取り組んでまいります。

 循環型地域社会の構築といたしましては、菜の花活用循環型産業事業に取り組むとともに、町のシンボルである「澄んだ空気」を大切に守るため、環境基本計画に基づき「空気のふるさと推進運動」に継続して取り組んでまいります。

 また、再生可能エネルギー推進事業として、太陽光発電設備設置補助を継続して実施し、新たに役場庁舎再生可能エネルギー設備工事を実施してまいります。

町民生活と地域経済を守る緊急対策

 次に、町民生活と地域経済を守る緊急対策につきまして、申し上げます。

 町単独で景気対策や雇用対策を行う困難さはあるものの、雇用機会の創出、公共事業の前倒し発注、そして効果的な消費喚起など、可能な対策を積み重ねていく必要があります。

 また、先の東日本大震災から得られた新たな知見や教訓を如何に今後の防災に生かしていくかが重要な課題となります。

 普通建設事業を積極的に実施し、安心して住みやすいまちづくりとしての社会基盤整備とあわせ、地域経済へ波及効果が期待でき、景気の下支えを図ってまいります。

 雇用対策といたしまして、地域人づくり事業を活用し、民間企業等の活力を用い、雇用の拡大及び処遇の改善に取組んでまいります。

 地域産業への緊急支援といたしまして、先に申し上げましたが、持家住宅建築奨励金、木材利用住宅建築奨励金等の継続により、町内建築事業を支援してまいります。

 商工業支援といたしまして、販路拡大事業や、商工業融資制度保証料補給金によるセーフティネット保証への対応をいたします。

 安全安心な町づくりといたしまして、消防施設等の整備、橋梁の長寿命化及び防犯灯LED化推進事業等に取組んでまいります。

時代に適応した、信頼される行政の確立

 次に、時代に適応した、信頼される行政の確立であります。

 「財政健全化法」により、財政の健全化に関する指標として、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の4つの指標を、また、公営企業については資金不足比率の指標が設けられております。

 平成25年度決算おける当町の指標はいずれも健全段階であり、特に、実質公債費比率、将来負担比率は、県内市町村においてトップレベルの健全性となっております。

 起債の抑制をはじめ、利率の高い町債の計画的な繰り上げ償還、交付税算入率の高い過疎債の活用などにより、将来の負担額の抑制に努めてきた結果が反映されたものとなっております。

 今後とも、持続可能な財政運営に努めてまいります。

最後に

 平成27年度は交流の拠点となる「総合交流拠点施設」がオープンする重要な年となります。第5次総合発展計画に位置付けられた2つの理念のうちのひとつ、『交流』による活力のあるまちをつくるために目指している『交流人口の拡大』をより一層推進してまいります。あわせて、2年目を迎えるブランド戦略についても、町に引力を持たせ、選ばれる町づくりを進めていくために、主体的に前向きに取り組んでまいります。

 人も自然も産業もすべて町全体がキラキラと輝き、そこに行ってみたい、そこで暮らしてみたい、また、ここで暮らして良かったと、誇りを持って言える町づくりを実現するため、第5次総合発展計画、第3次朝日町定住促進ビジョンを着実に実施し、「選ばれる町づくり」を強力に進めてまいります。

 朝日町を含めた地方全体の課題「人口減少社会」など様々な課題を解決するために、あらゆる方策を考え、なにがなんでも成し遂げるという強い決意を持って、全力で取り組んでまいります。

 以上、平成27年度の施政方針につきまして、申し上げました。

 議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

施政方針とは

町長が、町議会でその年の町運営の基本方針や政策について所信を示した演説です。

本文書は施政方針の原稿です。朝日町議会平成27年3月定例会当日(平成27年3月4日)の筆記録ではありませんので、実際の演説のとは若干の相違点があります。

この記事に関するお問い合わせ先

総務課 財務係

〒990-1442
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電話番号:0237-67-2111
ファックス番号:0237-67-2117
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更新日:2019年03月29日