平成29年度施政方針

平成29年3月議会定例会

  • はじめに
  • 平成29年度の町政運営の基本方針
  • 平成29年度当初予算
    • 信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』
    • 安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』
    • 安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』
  • 時代に適応した、信頼される行政の確立
  • 最後に
  • 施政方針とは

 本日、朝日町議会3月定例会の開会にあたり、議員各位におかれましては、町政の発展に日頃からご尽力いただいておりますことに対し、感謝を申し上げます。ここに、平成29年度当初予算をはじめ、重要案件のご審議をお願いするに当たり、町政に取り組む所信の一端を申し述べ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

 国内経済は、国の経済対策などにより雇用・所得環境の改善傾向が続く中、緩やかに回復基調にあるものの、地方においては景気回復の実感に乏しく、海外経済の不確実性によるリスクも懸念されるなど、先行き不透明な情勢と認識しているところであります。

 この状況下において、国内では少子高齢化、デフレからの脱却、厳しさをます安全保障環境などの困難な課題が山積し、国外では英国のEU離脱決定の影響や、米国で新大統領が就任するなど我が国を取り巻く国際情勢が激変する中で、今後の国の動向について注視していく必要があります。

 こうした不安定な先行きの不透明感から脱しえない社会経済の状況が、町民生活に深刻な影響を与えていることは、明らかであります。

 さて、平成20年3月に、「いつの時代も自信と誇りを持ち、住みたい、ずっと住み続けたい魅力のあるまちをつくる」ことを目標に掲げた「第5次朝日町総合発展計画」を策定し、計画期間の折り返し点を迎えた平成24年度には、前期5年間における取組みの評価・検証を踏まえ、平成25年度から後期5カ年の取組みをスタートしたところであります。平成29年度は後期計画の最終年度にあたることから、推進指標の達成に向け施策の総仕上げを行うとともに、今後10年間のまちづくりの指針となる「第6次総合発展計画」について着実に策定を進めてまいります。

 多くの自治体同様、残念ながら人口減少が続いている状況にありますが、減少率が鈍化している現状は一定の成果によるものと考えております。

 顧みれば、町長就任時に、「人口流出に歯止めをかけよう、何とかこの町を良くしよう、少しでも住みやすい町をつくりたい」という一心から志を高く町政執行に取り組んでいこうと決心いたしました。社会情勢がめまぐるしく変化する状況のなか、「人口減少社会」などの町が直面する課題の解決を確実に成し遂げるため、やる気と挑戦の気持ちをもってチャレンジしていくことが大切であると考えております。

平成29年度の町政運営の基本方針

 このような状況を考慮し、平成28年度の実施計画基本方針を次のとおり決定いたしました。

特に重視すべきテーマ

(1)産業力

ア 豊かさを実感できる農業振興の展開

イ ものづくり産業の充実

ウ 観光・交流を推進するための体制整備

(2)地域力

ア 未来を担う子どもたちの教育環境づくりの推進

イ 郷土愛を育むための環境づくりの推進

ウ 地域の特性を活かした信頼の地域づくり

エ 地域を支える人材の育成

(3)定住力

ア 若者・子育て世帯を支える定住環境の充実

イ 生涯現役社会の実現

ウ いのちと暮らしを守る安全・安心な地域の構築

エ 循環型地域社会の構築

このテーマに沿った施策の実行により、「第5次総合発展計画の総仕上げを行うとともに、次期総合発展計画の策定に向け、民間との連携や広域連携など新たな視点を取り入れた未来につながる「攻めのまちづくり」を展開する。」このことを重点とし、町政運営に取り組んでまいります。

平成29年度当初予算

 次に、平成29年度当初予算について、申し上げます。

 実施計画の基本方針に基づき、朝日町まち・ひと・しごと創生総合戦略を着実に実施し、第5次朝日町総合発展計画の実現を目指し、積極的な施策の展開を図り、また、一方では、財政の健全性を維持しながら、予算編成に努めたところであります。

 なお、議会報告会により取りまとめられた意見書や、公聴活動として行っている「町長と語ろう」で出された貴重な町民の声等に対しても十分配慮させていただいたところであります。

 以上の基本的な考えに基づき、第5次朝日町総合発展計画に掲げた3つの柱と、その推進のためのプロジェクトに沿って、平成29年度に実施する主要な事業につきまして、ご説明いたします。

信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』

 第1の柱であります、「信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』」につきまして申し上げます。

 1つ目は「みんなが主役で愛する地域をつくるプロジェクト」であります。

 地域づくりの原点は人づくりにあると確信しており、「地域を支える人材の育成」として、「Newアクション応援事業」等、人材育成事業をさらに推進いたします。

 特に、豊かな国際感覚を身につけ積極的に未来を創造する人材を育成するために、中学生等海外研修事業を充実させてまいります。

 「郷土愛を育む活動の推進」につきましては、地域の自発的な取り組みの視点に立って、町づくり・地域づくり事業をさらに推進いたします。

 地域提案型交付金、除雪費支給事業の実施や、地域支援担当事業及び志藤六郎むらおこし基金を活用した地域のシンボルづくり事業につきましては、継続して実施し元気な地域づくりを応援してまいります。

 新たに、集落点検を実施するための集落支援員を配置し、その結果を第6次総合発展計画に反映させてまいります。

 2つ目は「みんなで育てる子ども成長プロジェクト」であります。

 各小中学校における子どもの実態に応じたきめ細かな指導、学力向上対策への支援、英語指導助手による国際力の向上など、支援を強化してまいります。

 さらには、地域・家庭の教育力向上の支援として、家庭・学校・地域が一体となった子育て環境づくりや、「あさひ教育の日」の推進に取り組んでまいります。

 また、安心して教育が受けられるための施設整備として、西五百川小学校受水槽高架水槽更新、朝日中学校武道館床張替工事を実施してまいります。

 新たに、地域に誇れる小規模校支援事業に西五百川小学校で取り組み、小規模校のメリットを生かし、地域と学校の交流を促進する等、特色ある学校づくりを推進してまいります。

安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』

次に、第2の柱であります、「安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』」について、申し上げます。

 1つ目は「こだわりのある農業をつくるプロジェクト」であります。

 高品質りんご生産緊急対策として、ワイ化促進事業を継続して実施するとともに、りんご生産者と市場関係者との交流をはじめ、りんご銘柄産地確立対策としての輸出推進など、確固たるブランド確立の取り組みを引き続き進めてまいります。

 「安全安心米」づくりに加え、米のブランド化の更なる確立、販売促進の支援及び高品質米支援、新たに担い手農地集積支援事業を実施し米の生産基盤の強化を図ってまいります。

 園芸作物の振興、ブランド品維持対策として、朝日町ワインの原料となるぶどう生産の支援や野菜の振興を図ってまいります。

 また、農業後継者の育成と、若者・転入者・定年帰農者等の新規就農者確保に努め、新たに農地等災害復旧時の補助率の見直しを行い、「りんご」をはじめとする農産物が町のブランド商品として、将来とも安定して生産が継続され、若者が将来に夢や希望を持てる農業となるような施策をさらに充実して進めてまいります。

 2つ目は「みんなが活躍するものづくりプロジェクト」であります。

 「産業まつり」への来客数が年々増加しております。町産業のPR、並びに、販売促進のため、参加事業所と協力し、更なる集客に取り組んでまいります。

 また、雇用対策事業や産業立地促進奨励金などの既存企業の支援とともに、地域資源を活用した6次産業化をはじめ創業支援対策を充実させ、雇用の場の確保に努めてまいります。

 商業振興といたしましては、個店同士や道の駅との連携による商店街活性化対策に取り組んでまいります。

 3つ目は「みんな温か交流・観光プロジェクト」であります。

 第5次朝日町総合発展計画の理念のひとつでもある「交流」につきましては、積極的に「交流人口の拡大」による活力のある町づくりを目指してまいります。

 観光協会を母体とした事業展開のさらなる強化とりんごの森及びロッジしらくらをはじめとする地域資源の活用と情報交流推進員等による情報の発信力を強め、もてなしの心を育み、そして町を訪れる多くの人との交流を盛んにし、地域経済の活性化を目指してまいります。拡大するインバウンド市場を新たなマーケットとして取り組みを強化してまいります。

 また、これらの取組みと併せ、地域のブランドイメージを高めるため、4年目となる地域ブランド戦略をさらに推進してまいります。

安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』

次に、第3の柱であります「安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』」につきまして、申し上げます。

 1つ目は、「みんなで支えあう子どもいっぱいプロジェクト」であります。

 安心・安全で快適な子育て環境の整備といたしまして、子育て支援拠点施設「あさひ保育園」を中心とした多様な保育ニーズへの対応を図るため、運営母体の社会福祉法人「あさひ会」と協力し取り組んでまいります。平成28年度は3歳未満児の定員を増員するため保育園未満児室を増築し、平成29年度は新たに放課後児童クラブを建設することで児童に安心安全な放課後を提供し、子育て環境の充実を図ってまいります。

 また、子育て家庭に係る経済的負担の軽減策として、新たにロタワクチンの接種費用の助成を実施してまいりますとともに、出産祝品、3歳以上児で第2子以降の保育料の5千円定額化、第3子以降の無料化、及び、中学生以下の医療費完全無料化等につきましては引き続き支援してまいります。

 2つ目は「みんな達者でにこにこ元気プロジェクト」であります。

 お年を召されても生涯健康で生きがいをもって活躍できる方を増やすため、健康診断の受診者負担の軽減や啓発により受診率の向上を図るとともに、保健師による各地区への訪問指導をはじめ、介護予防事業、健康教室・相談指導業務につきましては引き続き推進し、高齢者生産活動センターの改修等により高齢者が元気に活動する場を整備いたしてまいります。ミズノとの連携によりスポーツ力の向上はもとより健康づくりという専門的なノウハウを町づくりに活かして頂き、生涯現役社会をめざしてまいります。

 また、地域医療の中核をなす町立病院の医療基盤の維持・強化のため、看護師等人材確保対策として修学資金貸与事業を実施するとともに、国で示した操出基準に基づき、一般会計からの繰り出し補助を継続して実施してまいります。

 3つ目は「安らぎのある自然に優しいまちづくりプロジェクト」であります。

 災害に備える基盤整備や地域防災体制の確立であります。

 地震等自然災害から地域を守るため、各地区での自主防災組織による、有事の場合に備えた訓練や機材整備への支援等を継続して実施し、新たに防災マップを作成し町民の防災意識の高揚を図ってまいります。

 万が一の火災発生時に備え、小型動力ポンプ付積載車、耐震性貯水槽、消火栓等の消防施設の整備を推進し、消防力の維持向上に努めてまいります。

 快適で多様な住環境の整備といたしまして、木造住宅の耐震診断の実施や、持家住宅建設奨励補助、木材製品利用住宅建設奨励補助を継続して実施してまいります。さらに、空き家バンク制度を活用した空き家利用促進対策について、継続して実施してまいります。また、民間アパートの建設を促進するため、民間賃貸共同住宅等建設奨励補助を継続して実施してまいります。

 ライフラインである水道の安定供給を図るため、朝日町新水道ビジョンに基づき、一ツ沢接合井の整備にむけ測量設計を実施してまいります。

 安全で便利な交通環境の整備といたしましては、町民の足確保対策では、デマンド型乗り合いタクシー「あいのり号」を継続して運行するとともに、新たに75歳以上の方の負担軽減として、デマンドタクシーの料金の半額化及び山交バス運賃の補助を実施してまいります。

 高校生の通学支援といたしましては、山形市直行バスの運行を復路3便に拡充し、新たに朝日中学校前バス停に自転車置き場を設置し、さらに夜遅い時間帯の河北町・寒河江市方面の通学手段の確保を行い、利便性の向上に向け取り組んでまいります。

 循環型地域社会の構築といたしましては、菜の花活用循環型産業事業に取り組むとともに、町のシンボルである「澄んだ空気」を大切に守るため、新たに環境基本計画を作成し、「空気のふるさと推進運動」に継続して取り組んでまいります。

また、再生可能エネルギー推進事業として、太陽光発電設備設置補助を継続して実施してまいります。

時代に適応した、信頼される行政の確立

次に、時代に適応した、信頼される行政の確立であります。

 「財政健全化法」により、財政の健全化に関する指標として、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の4つの指標、また、公営企業については資金不足比率の指標が設けられております。

 平成27年度決算における当町の指標はいずれも健全段階であり、特に、実質公債費比率、将来負担比率は、県内市町村においてトップレベルの健全性となっております。

 起債の抑制をはじめ、利率の高い町債の計画的な繰り上げ償還、交付税算入率の高い過疎債の活用などにより、将来の負担額の抑制に努めてきた結果が反映されたものとなっております。

 今後とも、最小のコストで最大の効果をあげることを心がけ、持続可能な財政運営に努めてまいります。

最後に

 平成29年度は『第5次総合発展計画』が最終年度を迎え、『朝日町まち・ひとしごと創生総合戦略』を踏まえ、『第6次朝日町発展計画の策定にあたる重要な年であります。第5次総合発展計画の総仕上げを行うとともに、民間との連携や広域連携など新たな視点を取り入れた未来につながる「攻めのまちづくり」に取り組むとともに、町のブランド力を高め、総合発展計画の基本目標である「いつの時代も自信と誇りを持ち、住みたい、ずっと住み続けたい魅力のあるまち」の実現を図り、町の直面する課題の解決に向け、優先度の高い施策を積極的に実施してまいります。また、「朝日町人口ビジョン」及び「朝日町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を着実に実施し、地方創生の実現に向けて取り組んでまいります。

 人も自然も産業もすべて町全体がキラキラと輝き、そこに行ってみたい、そこで暮らしてみたい、また、ここで暮らして良かったと、誇りを持って言える町づくりを実現するため、「選ばれる町づくり」を強力に進めてまいります。

 近年、当町においては、町の未来を見据えてブランド化に取り組み、それに伴う情報発信で町内外の方々に広く町のことを注目していただきました。その結果が、ふるさと納税の大幅な増加であり、平成27年10月にオープンした道の駅あさひまち『りんごの森』の年間40万人を超える来場者数であり、平成28年12月にオープンした『ロッジしらくら』への大勢の来場者につながっているものと考えております。また、今年1月には『ゲストハウス松本亭一農舎』がオープンし、今後の交流人口のさらなる増加が期待されるところであります。

 朝日町の歴史はユニークなチャレンジの連続でした。「チャンスがあるからチャレンジするのではない。チャレンジするからチャンスが訪れてくる。」このように先人から代々受け継がれてきた未来に向かって挑戦し続ける『チャレンジ精神』こそ朝日町民のDNAであり、町の未来を築く『朝日町の宝』であります。4期目の初年度にあたり、この『チャレンジ精神』を胸に、怖れず、怯まず、着実に、今ある世代の幸せの実現と未来を担う次世代の希望創生実現に向け、常に『初心』に返り、全力で取り組んでまいります。

 以上、平成29年度の施政方針につきまして、申し上げました。

 議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

施政方針とは

町長が、町議会でその年の町運営の基本方針や政策について所信を示した演説です。

本文書は施政方針の原稿です。朝日町議会平成29年3月定例会当日(平成29年3月2日)の筆記録ではありませんので、実際の演説のとは若干の相違点があります。

この記事に関するお問い合わせ先

総務課 財務係

〒990-1442
山形県西村山郡朝日町大字宮宿1115
電話番号:0237-67-2111
ファックス番号:0237-67-2117
お問い合わせはこちら

このページに対するご意見をお聞かせください。
この情報をすぐに見つけることができましたか?
お求めの情報が十分掲載されていましたか?
ページの構成や内容、表現はわかりやすいものでしたか?

朝日町役場へのお問い合わせは、各ページの「この記事に関するお問い合わせ先」へお願いします。

更新日:2019年03月29日