平成22年度施政方針

平成22年3月議会定例会

  • はじめに
  • 平成22年度の町政運営の基本方針
  • 平成22年度当初予算
    • 信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』
    • 安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』
    • 安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』
  • 町民生活と地域経済を守る緊急対策
  • 時代に適応した、信頼される行政の確立
  • 最後に
  • 施政方針とは

 町議会3月定例会の開会にあたり、町議会定例会に提案しております議案の説明に先立ち、町政運営につきまして所信の一端を申し上げ、議員各位並びに町民の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

 町長就任以来、「人口流出に歯止めをかけよう、何とかこの町を良くしよう、少しでも住みやすい町をつくりたい」という思いで町政執行にあたってきたところであります。

 平成18年度には、「定住促進ビジョン」を、また、平成19年度には、新しい町づくりの道標として、「第5次朝日町総合発展計画」を策定し、その具現化に力を入れ進めてきたところであります。

 さて、一昨年の世界的金融危機以降、我が国の景気動向は一段と深刻さを増し、雇用環境の悪化や消費者物価の下落などのデフレ兆候も著しくになっております。最悪期を脱し、生産の回復に伴い、景気持ち直しの兆しも見られると言われているものの、先行きの不透明感から脱しえない状況にあり、朝日町にも大きな影を落としております。

 一方、地方自治体を取り巻く環境も、大きな変革の時を迎えております。

 昨年の夏の衆議院議員総選挙において歴史的な政権交代が行われました。以来、国と地方との関係や財源配分の見直し議論、「事業仕分け」に象徴される新たな取り組みも始まっております。こうした国の政策転換は、当町の政策推進にも大きく影響を及ぼすところでありますが、国民に一番身近な基礎自治体として、引き続き、国の動きを注視し、機を逃すことなく迅速な対応に努めてまいります。

 地方分権改革は、衆参両院の「地方分権の推進に関する決議」から16年が経過し、一歩ずつ進んでまいりました。更に、昨年9月に誕生した鳩山政権は、「内容のともなった地域主権」を内閣の基本方針としてスタートを切りました。本年は、地域主権の実現に向けた取組が本格化し、夏には、補助金の一括交付金化や出先機関改革の基本的な考え方などを盛り込んだ、「地域主権戦略大綱」の策定が予定されております。

 生産年齢人口の減少による税収の減や、少子化対策、高齢化による社会保障費の増など、国も地方も財政状況の好転の兆しが見えない中で、時代環境の変化に適切に対応した、行財政運営のありかたが、我々地方自治体に求められております。

平成22年度の町政運営の基本方針

 平成22年度の町政運営の基本方針について申し上げます。

 世の中の構造が大きく変わろうとしている真っ只中にあります。

 しかしながら、このような時代であればこそ、私たちは常に前向きに、目標を高く持ち、町民の皆さんと思いを共有し、一緒に考え、取り組んでいくことが大切であると考えております。

  • 人材育成、地域の力
  • 暮らしを守る産業の力
  • 基盤整備、定住の力

の3つの力を柱とし、「産業力」を中心とした施策の実行により、朝日町が更に大きく飛躍しますよう、交流を促進し、町民との協働により、町の活力を高めることに重点をおき、町政運営に取り組んでまいります。

 あわせて、百年に一度と言われる現下の経済危機にあたり、朝日町におきましても、町民生活と地域経済を守る観点から、引き続き21年度補正予算、22年度予算と、切れ目なく連続的に大胆かつ積極的に施策を実行してまいります。

平成22年度当初予算

 平成22年度当初予算について申し上げます。

 厳しい財政状況の中、財政の健全性を堅持する一方、交流を促進し、町民との協働により、町の活力を高める施策の展開を図り、現下の景気の悪化に迅速に対応し、将来にわたって、町の元気・活力を町民が実感できるようにするため、めり張りのある予算編成に努めたところであります。

 以上の基本的な考えに基づき、第5次総合発展計画に掲げた3つの柱と、その推進のための8つのプロジェクトに沿って、平成22年度に実施する主要な事業につきまして、ご説明いたします。

信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』

 第1の柱であります、「信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』」について申し上げます。

 1つ目の「みんなが主役で愛する地域をつくるプロジェクト」であります。

 「地域を支える人材の育成」として、平成19年度から21年度まで取り組んでまいりました「あさひ未来塾」から発展したグループの活動支援、並びに、「協働のまちづくりプロジェクト」として、新たな人材育成事業に取り組んでまいります。

 「郷土愛を育む活動の推進」につきましては、自分たちの地域は自分たちで築いていく、そうした地域の自発的な取り組みの視点に立った「朝日町協働のまちづくり指針」に基づいた、地域提案型交付金、雪対策事業を実施いたします。

また、町づくり・地域づくりにつきましては、町民の皆さんと直接語り合う場としての、地域座談会「町長と語ろう」を継続してまいります。

 地域支援担当事業により、地区の課題を共有し、職員が地域の人と一緒になり汗を流し、地域づくりを支援してまいります。

また、各地域より要望の強い志藤六郎むらおこし基金を活用した、地域のシンボルづくり事業につきましても、継続支援してまいります。

 一人ひとりが、町を好きになり誇りを持つために、町の魅力をわかりやすく、興味を持って知っていただく取り組みとして、朝日町読本を活用した、朝日町検定を実施してまいります。

 2つ目の「みんなで育てる子ども成長プロジェクト」であります。

 各小中学校における、子どもの実態に応じたきめ細かな指導、学力向上対策への支援の拡充、英語指導助手による国際力の高揚などを継続推進してまいります。

 さらには、地域・家庭の教育力向上の支援、家庭・学校・地域一体の子育て推進を図るための事業に取り組んでまいります。

 安心して教育が受けられるための支援・教育内容に合った施設設備整備といたしましては、宮宿小学校体育館の改築に着手いたします。22年度は実施設計を行い、23年度に本体工事を予定しております。また、今後10カ年の教育振興計画を新たに策定いたします。

安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』

 次に、第2の柱であります、「安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』」について申し上げます。

1つ目の「こだわりのある農業をつくるプロジェクト」であります。

 高品質りんご生産緊急対策としての、奨励品種、新技術の導入促進支援策につきましては、事業費を増額し実施するとともに、りんご生産者と市場関係者との交流をはじめ、りんご銘柄産地確立対策としての台湾・タイへの輸出推進、確固たるブランド確立の取り組みを積極的に進めてまいります。

 「安全安心米」づくりに加え、「清流美人」等の米ブランド化の更なる確立、販売促進の支援を強化してまいります。

 また、農業後継者の問題は極めて重要な課題であり、農業後継者の育成と、若者・転入者等の新規就農者へ対する支援を行い、一人でも多くの人が農業の担い手となり、「りんご」をはじめとする農産物が町のブランド商品として、将来とも安定して生産が継続されるよう、具体的な方策をさらに拡充して進めてまいります。

 2つ目の「みんなが活躍するものづくりプロジェクト」であります。

 毎年開催しております、町の「産業まつり」への来客数が年々増加しております。町産業のPR、並びに、販売促進のため、産業まつり参加事業所と協力し、更なる集客に取り組んでまいります。

 商店街活性化対策といたしまして、10%プレミアム付き「朝日町お買い物券」の拡充販売に対し補助を行ってまいります。

 地域資源を活かした産業創造への支援策として、20年度に創設いたしました「朝日町産業創造推進機構」をとおし、起業の促進、新産品の開発などに取り組むとともに、交流を基本とした販路開拓に継続して取り組んでまいります。

 3つ目の「みんな温か交流・観光プロジェクト」であります。

 第5次朝日町総合発展計画の基本テーマともなる「交流」を基本とした「交流人口の拡大」を目指してまいります。そのため、観光振興推進員を継続して配置し、観光協会を母体とした事業展開の強化を図り、地域資源、「蔵」、「食」の活用と情報の発信力を強め、もてなしの心を大切に持ち、そして町を訪れる交流を盛んにし、活気ある元気な朝日町を目指してまいります。

安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』

 次に、第3の柱であります「安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』」について申し上げます。

 1つ目の、「みんなで支えあう子どもいっぱいプロジェクト」であります。

 安心して子育てができる環境の整備として取り組んでまいりました、統合保育園に子育て支援センターの機能を備えた子育て支援拠点施設「あさひ保育園」が、4月開園の運びとなりました。3歳未満児保育、土曜日保育、延長保育等の多様な保育ニーズへの対応策を一層推進するとともに、更なる保育内容の充実を図ってまいります。

 保育園通園バス運行につきましては、22年度から町が直接管理し、無料で運行いたします。

 また、国においては、次世代の社会を担う子どもを社会全体で支えていくという考えの下、子ども手当が創設されるなど、新たな取り組みが進められようとしています。

 当町におきましても、22年度から「朝日町定住促進ビジョン」、「次世代育成支援対策行動計画」の第2期がスタートいたします。この2つの計画は、安心して産み育てやすいまちを目指した、次世代育成、子育て支援に関する総合的な計画であり、次代を担う子どもと子どものいる家庭を支援し、心身ともに健やかに育つための環境を整備するための指針であり、この計画に基づいた施策の展開を図ってまいります。

子育て家庭に係る経済的負担の軽減策として、第2子以降の保育料の5千円定額化、6歳未満児の医療費・小学生以下の入院費の完全無料化、妊婦検診の14回分の無料化、高校生以下のインフルエンザワクチン接種補助等を継続実施いたします。新たに、乳幼児のヒブ(細菌性髄膜炎)ワクチン接種への補助を実施いたします。

 2つ目の「みんな達者でにこにこ元気プロジェクト」であります。

 老いても生涯健康な身体で現役で活躍できる人を増やすため、健康診断の受診者負担の軽減や啓発により受診率の増加を図るとともに、保健師による各地区への訪問指導体制の強化をはじめ、健康教室・相談指導業務を推進してまいります。

 また、地域医療の中核をなす町立病院の医療基盤の維持・強化のため、国で示した操出基準に基づき、一般会計から繰り出し補助について増額いたします。

 3つ目の「安らぎと自然に優しいまちづくりプロジェクト」であります。

災害に備える基盤整備や地域防災体制の確立として、木造住宅の耐震診断の実施、地震等自然災害から地域を守るため、各地区での自主防災組織の立ち上げ、有事の場合に備えた訓練等、防災対策の充実を引き続き図ってまいります。

 また、消防団の士気高揚のため、団員の活動服を新たに支給いたします。

 快適で多様な住環境の整備として、新たに、持家住宅建築奨励金を創設し、持家の建設工事に要する経費に対して50万円を限度とし助成いたします。木材製品利用住宅建築奨励金とあわせますと最高で80万円の助成となります。

 安全で便利な交通環境の整備として、町民の足確保対策では、町民バスに替えてデマンド型乗り合いタクシーを新たに運行し、利便性の向上を図ってまいります。

 循環型地域社会の構築として、菜の花活用循環型産業事業に取り組むとともに、町のシンボルである「澄んだ空気」を大切に守るため、環境基本計画に基づき「空気のふるさと推進運動」に取り組んでまいります。

町民生活と地域経済を守る緊急対策

 次に、町民生活と地域経済を守る緊急対策について申し上げます。

 普通建設事業を堅実に実施し、住みやすいまちづくりとしての社会基盤整備とあわせ、地域経済へ波及効果が期待でき、景気の下支えを図ってまいります。

 雇用対策であります。

 町臨時職員を増員し町が直接に雇用の場を確保するとともに、事業所が行う失業者の雇用を支援いたします。

 また、新たに、新規学卒就業者奨励金制度を創設し、町内に就業する新規学卒者に対して3万円を給付し、新規学卒者の就労並びに、町内事業所の雇用確保の支援を図ってまいります。

 地域産業への緊急支援であります。

 先に申し上げましたが、持家住宅建築奨励金の創設、木材利用住宅建築奨励金の継続により、町内建築事業を支援してまいります。

 セーフティネット保証へは、商工業融資制度保証料補給金を補助して対応いたします。

 また、商店街活性化対策として、10%増分のプレミアム付き「朝日町お買い物券」の販売に対して補助を行ってまいります。

時代に適応した、信頼される行政の確立

 次に、時代に適応した、信頼される行政の確立であります。

 「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」が平成20年4月より一部施行され、町の財政状況を判断するために設けられた健全化判断比率等の算定及び公表が義務付けられました。

 21年度からは、同法が完全施行となり、早期健全化基準及び財政(経営)健全化基準を超過した場合、健全化計画及び財政再生計画の策定が義務付けられています。

 この法律では、財政の健全化に関する指標として、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の4つの指標を、また、公営企業については資金不足比率の指標を設けております。

 それぞれの指標には基準が設けられ、「健全段階」、「財政の早期健全化」、「財政の再生」の3段階に区分されます。信号に例えれば、青信号、黄色信号、赤信号に区分するものです。

 平成20年度決算おける当町の指標はいずれも「健全段階」であり、特に、実質公債費比率、将来負担比率は、県内市町村においてトップレベルの健全性となっております。

当町におきまして、これまで起債の抑制をはじめ、利率の高い町債の計画的な繰り上げ償還、交付税算入率の高い過疎債の充当などを積極的に行っており、将来の負担額の抑制に努めてきた結果が反映されたものとなっております。

 今後とも、持続可能な財政運営に努めてまいります。

 当町の行財政改革につきましては、平成8年度以来、3次に渡り「行財政改革大綱」を策定し、その時々の住民ニーズや町の抱える課題に的確に対応していくため、事務事業・組織機構の見直しや、情報化の推進による行政サービスの向上等の改革を積極的に進めてまいりました。また、一方では、情報公開条例、個人情報保護条例の制定等、行政の透明性の向上に向けた取り組みを行い、改革は着実に進んできております。

 「第3次行財政改革大綱」の実施計画として、平成17年度に「朝日町集中改革プラン」を策定し、これに基づき21年度までの5カ年の取り組み期間におきまして、人件費の縮減や業務の効率化などの取り組みにより、計画の効果額は目標を達成いたしました。

 平成21年度が「集中改革プラン」の最終年に当たることから、これまでの取り組みにおける効果の検証を行い、行政の量から質への変革を新たな視点として加え、「第4次朝日町行財政改革大綱」を策定し、平成22年度から、この計画に基づき、さらなる改革の推進と効率的でかつ持続可能な行政運営を図ってまいります。

 町民に分かりやすい行財政の運営と、情報の更なる公開に努め、町民から信頼される町政運営に努めてまいります。

最後に

 冒頭にも述べましたように、非常に厳しい経済情勢に直面し、大きな変革・転換が求められております。この厳しい環境を乗り越えるためには、朝日町に住む人、働く人すべての人の知恵と力を結集しなければなりません。

 そのためには、町民の皆さん、そして行政が互いに信頼という絆でつながり、ともに行動をおこしていくことが重要です。このことを基本にし、町政運営をしてまいりたいと考えております。

 私はこれまで子育て環境の充実という視点を大切にし、定住力を充実するということで社会基盤の整備を中心に、進めてまいりました。22年度からは、第2次「朝日町定住促進ビジョン」に基づいた施策の展開を図ってまいります。

 また、町が元気になるためには、産業力の充実も欠かせません。百年に1度という経済金融危機のときですが、直面する課題への対応はもちろんのこと、将来を展望した産業力の充実を図らなければなりません。そのためには、朝日町がもつ資源、人材という最大の資源の力が発揮されるとともに、様々な資源を活かし、農業の振興、起業化、そして総合産業という視点からの交流観光にいかしていくことが今後重要となると考えております。

 さらに、町をつくるのは人材です。町の一番の礎は人材という地域力です。この力を高めることなしには、町づくりは進みません。そして、町の将来を担うのは子どもたちです。子どもたちが朝日町を愛し、健全に育つことが朝日町の将来をつくることそのものではないかと考えております。

 平成22年度は、こうした視点を大切にし、町政運営に当たりたいと考えております。

 激変する現代社会にあっては、むしろ私たちの方から、環境の変化を先取りし、新たな発想、新たな考えを取り込み、私たちの姿を私たち自身の手で変えて行く必要があります。現状維持に甘んじることなく、絶えず変化、変革を求めて、積極的に前進して行く姿勢こそ、今求められている姿だと思います。

 未知なるものへの不安。先行き不透明なものへの困惑。これから訪れるであろう新たな未来への期待と不安。それらが大きな怖れ、畏怖の念となって私たちを覆いつくしています。その中にあって私たちはただじっと手をこまねいて、立ち止っているものではないのです。恐れることはないのです。怖れを怖れと感じながらも、絶えず前進し時とともに歩を前に進めなければなりません。それが生きていることの実感であり、今私たちが生きていることの使命であると思います。

 新たな年との出会いを、真正面から受け止め、そして果敢に体当たりして行く。そんな気合いの入った一年を、町民の皆さんとともに、前を向きながら進んでまいります。

 以上、平成22年度の施政方針等について申し上げました。

 議員各位並びに町民の皆さんのご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

施政方針とは

 町長が、町議会でその年の町運営の基本方針や政策について所信を示した演説です。

 本文書は施政方針の原稿です。朝日町議会平成22年3月定例会当日(平成22年3月4日)の筆記録ではありませんので、実際の演説とは多少の相違点があります。

この記事に関するお問い合わせ先

総務課 財務係

〒990-1442
山形県西村山郡朝日町大字宮宿1115
電話番号:0237-67-2111
ファックス番号:0237-67-2117
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更新日:2019年03月29日