令和4年度施政方針

令和4年3月定例会

  • はじめに
  • 令和4年度の町政運営の基本方針
  • 令和4年度当初予算
    • 技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち【産業経済】
    • ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち【教育文化】
    • いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち【健康福祉】
    • 豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち【生活環境】
    • 地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち【地域づくり】
    • 町民と行政が相互に信頼できるまち【まちの経営方針】
  • 最後に
  • 施政方針とは

 本日、朝日町議会3月定例会の開会にあたり、議員各位におかれましては、町政の発展に日頃からご尽力いただいておりますことに対し、感謝を申し上げます。ここに、令和4年度当初予算をはじめ、重要案件のご審議をお願いするに当たり、町政に取り組む所信の一端を申し述べ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

はじめに、この一年を振り返りたいと存じます。

国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されたのは、令和2年1月のことでありました。令和3年度につきましては、それからおよそ1年が経過した中での船出となったところであります。感染拡大防止と生活維持・経済再生との両立を目指す、すなわち「ウィズコロナ元年」でありました。

感染拡大防止策としましては、ウイルスの猛威に防戦一方だった令和2年度から一変、新年度になるとワクチン接種が始まり、感染や重症化に対する予防策が講じられました。春先は収束への期待が高まりましたが、それも束の間、7月になると変異株の「デルタ株」が猛威を振るい、一年延期された東京オリンピック・パラリンピックも緊急事態宣言下の厳戒態勢の中、無観客で開催されました。ウイルスはその後もオミクロン株へ置き換わるなど、拡大と収束を繰り返しながら現在に至っております。

都市部のような爆発的な感染はないものの、山形県にも感染の波は都度訪れており、その影響は朝日町で暮らす私たちにも広く及んでいます。令和3年度につきましても、町では外からお客様を迎えるイベントがほぼすべて中止となりました。学校や地域の行事、職場の会合、さらには個人・家族単位の冠婚葬祭についても、自粛や規模の縮小を継続せざるを得ない状況で、経済への影響も深刻化、長期化しています。

町はこの1年間、国の交付金等を活用しながら事業者向けの支援策や個人向けの消費喚起策等を実施し、懸命に地域経済の下支えを行ってきましたが、未だ出口が見えない状況に不安の声は日々大きくなっております。今後も切れ目のない対策を講じることにより、全力を挙げて町民生活を守っていく所存であります。

他方では、感染症拡大による社会変化を、すでに「新しい日常」として前向きにとらえ、新たな価値や暮らし、仕事の創造へ結びつける動きも加速しております。

「非対面」「非接触」をきっかけにして、ICT教育を含むデジタル、AI活用が急速に進むほか、デジタル技術を活用した柔軟な働き方やビジネスモデルの変化も生まれています。さらには東京一極集中に対する変化の兆し、環境問題への意識の高まり、カーボンニュートラルの実現に向けた力強い動きなども見られ、感染症という「試練」を経て、社会や暮らしは大きく変わろうとしています。社会の大きな変革につながる胎動を随所に感じる1年でありました。

こうした「ウィズコロナ」の視点は、町政運営におきましても、この1年間、特に重視してきたところであります。

「コロナ禍だからできない」ではなく、「コロナ禍を機に見直す、改める、打ち出す」こと――。すなわち、「できない理由を探すのではなく、できる方法を考える」。

これは一年前のこの場で私が申し上げた言葉です。「自粛」「中止」といった言葉ばかりが並んだ令和2年度から一歩踏み出し、将来につながる前向きな施策を心がけ、町政運営に取り組んできました。ワインまつりの代替企画「おうちでワインまつり」や成人式のオンライン対応はその一例であります。

 

「あなたが転んでしまったことに関心はない。そこから立ち上がることに関心があるのだ」――。これは、アメリカ合衆国第16代大統領のエイブラハム・リンカーンの言葉です。人は誰しも失敗したり、間違えたり、気持ちが沈んでしまったりするものですが、大事なのはそうした困難をいかにして克服するか、ということであります。そうした部分にこそ、人間としての真価が問われるということを述べています。

これは未曽有の災難に直面する現代社会にもあてはまる考え方であり、今後社会が進んでいくべき方向性とも言えます。

 

世界を覆う感染症、地球規模の環境変化に起因する大規模な自然災害、極度に緊張感を増す国際情勢等、先行きは不透明の度を増しています。しかし、どんな状況下においても、将来を見据え、「今私たちにできることは何なのか」、また「私たちがすべきことは何なのか」と自問自答し、一つ一つ丁寧に課題を解決し、町民の幸せを創造していくことが、町を預かる私の責務であると自覚しております。小さな町だからこそできることを大胆に発想し、判断し、町に活力をもたらす――。私が思い描くまちづくりの理想は、就任当初から一貫して変わっておりません。

これは、第6次朝日町総合発展計画の軸に据えた「希望活動人口」の考え方にもつながります。「人口規模は小さくても、自分の夢や希望に向かって、また、元気なまちをつくるために、積極的に行動する人、すなわち、『希望活動人口』の密度を高めていくことで、まちを元気にしたい」――。私の信条である「やる気・挑戦」、つまり、チャレンジを続けることで、この苦難を乗り越えていく覚悟でございます。

 

未曾有の感染症が広がり、社会情勢がめまぐるしく変化する状況のなかではございますが、令和4年度につきましても、やる気と挑戦の気持ちをもって町政のかじ取りを担わせていただき、この試練を乗りこえていく所存でございます。

令和4年度の町政運営の基本方針

平成29年度策定した第6次朝日町総合発展計画では、目指す将来像に「チャレンジ・つながり・希望 ~町民が活躍し笑顔あふれるまち~」を掲げ、特に重視すべき柱として、次の5本の基本目標とそれを実現させるための「まちの経営方針」を定めました。

1.技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち【産業経済】

  1. 農業
  2. 仕事の確保(商工業)
  3. 交流・観光

2.ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち【教育文化】

  1. 子育て
  2. 学校教育
  3. 生涯学習【スポーツ・文化】

3.いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち【健康福祉】

  1. 健康増進
  2. 医療・福祉

4.豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち【生活環境】

  1. 住まい
  2. 交通
  3. 環境
  4. 防災

5.地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち【地域づくり】

  1. 地区づくり活動
  2. まちのにぎわい・元気づくり

町民と行政が相互に信頼できるまち【まちの経営方針】

  1. 町民と行政の協働
  2. 行財政経営

感染症が長期化する中、町は引き続き、「守り」の施策で町民の暮らしを支えることはもちろん、ポストコロナを見据えた「攻め」の施策で社会のメガトレンドを取り込むことがとりわけ重要であります。コロナ終息後の世界は「元の状態への回帰」ではなく、進むべきは「新たな日常」を前提とした暮らし、施策の創造であります。こうした「ピンチをチャンスに変えるチャレンジ」が第6次朝日町総合発展計画の具現化につながっていくと確信するものであります。

令和4年度につきましては、「第6次朝日町総合発展計画の中間年(5年目)として、「チャレンジ・つながり・希望 ~町民が活躍し笑顔あふれるまち~」を基本理念としつつ、ポストコロナを見据え、町民との協働により誰もが将来に希望を抱き、その実現に向けてチャレンジできるまちをつくる」ことを基本方針とし、町政運営に取り組んでまいります。

令和4年度当初予算

令和4年度当初予算につきましては、実施計画の基本方針に基づき、「第6次朝日町総合発展計画」及び「第2期朝日町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を着実に推進するべく、編成したところであります。

大きな方向性につきましては、先般の予算内示でご説明させていただいた通り、「観光施設や学校施設等、重要政策の方向性を決断する年度」と位置づけ、施設整備事業費の圧縮に努めております。

一方では、公共施設の長寿命化や防災・減災対策は引き続き重要テーマに位置付けて取り組むほか、カーボンニュートラル、デジタル化といった新たな視点の施策にも積極的に着手する所存であります。さらには、子育て支援、官民連携の推進、移住・定住支援策等の重要課題や、議員の皆さまをはじめ、学校、PTA、地域の皆さまから頂戴した請願、要望につきましても、可能な限り予算に反映させております。

以上の基本的な考えに基づき、第6次朝日町総合発展計画の5つの基本目標と、まちの経営方針に沿って実施するプロジェクトにつきまして、詳細をご説明いたします。

技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち【産業経済】

第1の目標であります、「技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち」、産業経済分野につきまして、3つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は農業分野であります。

町の最大の強みであるりんごの品質確保対策として、わい化促進事業を継続して実施し、ブランド確立の取り組みを引き続き進めてまいります。

りんご以外の農作物につきましても、「チャレンジファーマー応援事業」や「ワイン用ぶどう栽培支援事業」「ブランド米生産促進補助」などを通じ、米や果物、園芸作物など多様な農業にチャレンジできる環境を整備します。

担い手確保対策につきましては、電動アシスト付剪定ハサミ、自動草刈機、パワーアシストスーツの購入に対して補助を行う「スマート農業化支援事業」を新たに創設し、省力化、効率化を支援いたします。

近年被害が顕在化している有害鳥獣対策については、国、県の補助事業を有効活用しながら取り組みを継続いたします。町堆肥センターにつきましては、稼働開始から18年が経過し老朽化が著しいことから、主たる設備のかくはん機を更新いたします。

 

2つ目は仕事の確保、商工業分野であります。

コロナ禍により、町内でも各事業所や商店が引き続き厳しい経営を強いられています。令和4年度当初予算では、緊急的に融資を受けられた事業者の利子相当分を負担する「中小企業緊急災害等対策利子補給事業」等を計上しております。特にコロナの影響を踏まえた経済対策につきましては、昨年末に増額内示された国の地方創生臨時交付金に合わせ、今後の補正予算で対応する予定であり、引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。

また、ニーズの高い産業立地促進奨励金事業や創業支援事業補助金事業は継続し、コロナ禍を踏まえた新たな設備投資や創業につきましても応援してまいります。

 

3つ目は交流・観光分野であります。

コロナ禍により、人の移動が大幅に制限され、観光業そのものが窮地に立たされている昨今でございます。4大まつりをはじめとしたイベントにつきましては先行きを見通すことができず、現時点で従来通りの開催はお約束できない状況にありますが、今年度と同様、「できる方法」を主眼に取り組んでます。

その中で、令和4年度につきましては、新規事業として「空気神社ライトアップ事業」を実施します。JR東日本と連携した観光キャンペーンとして、空気神社をフォトジェニック(写真映え)にライトアップし、夜間の観光コンテンツを創出いたします。カーボンニュートラルをはじめ、環境への関心が高まる中、その先進的な象徴として「空気神社」への注目度も高まっているほか、コロナ禍でも無理なく実施できる事業であることから、令和4年度の目玉事業として取り組む所存であります。

施設整備につきましては、冒頭でも申し上げた通り、町は今、観光施設の在り方について、議会の皆さまと一体となって検討を進めているところであります。その方針につきましては、今後のまちづくり、財政運営等を大きく左右する重要な決断となりますので、9月の方針決定まで、議会の皆様と心を一つにして取り組んでいく所存であります。

ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち【教育文化】

第2の目標であります、「ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち」、教育文化分野につきまして、3つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は子育て分野であります。

妊娠・出産期から子育て期までの健康を確保し、不安や負担を軽減する取り組みとして、妊産婦の健診教室、相談会等を継続してまいります。

子育てにかかる負担軽減の取組みとしては、令和4年度から町独自の事業として「未満児家庭保育応援金」を創設し、家庭で子育てされる保護者を支援いたします。また、「出産支援給付金」につきましては、県補助金に町独自にかさ上げし、給付額を増額しております。高校生以下の医療費完全無料化も含め、支援をさらに充実させてまいります。

保育環境充実のための取組みとしましては、国の「保育士等処遇改善事業補助金」を活用し、働き手確保による安心・安全な保育に努めてまいります。

 

2つ目は学校教育分野であります。

家庭・地域・学校が協働し、きらりと光る学校・地域を作る取り組みとしましては、地域活動推進員によるコミュニティスクール事業、探求型学習を推進いたします。

社会の変化に対応し、未来を拓く確かな力を持つ子どもを育てる取り組みとしましては、タブレット機器等を活用したデジタル教育を一層充実させるため、小中学校にICT支援員を派遣いたします。

施設整備につきましては、宮宿小、西五百川小の防犯対策や朝日中学校の1学年単学級化に伴う教室改修を予定しておりますが、観光施設と同様、大きな方向性については検討中でありますので、大規模な改修は見送っております。令和4年度は「第2次教育振興計画」の中間見直し年度にもなっておりますので、今後「朝日町みらいの学校検討員会」の答申を踏まえ、方針を固めてまいります。

 

3つ目は生涯学習、スポーツ・文化分野であります。

潤いのある生活を楽しむ生涯学習を推進する事業の施設整備としまして、引き続き創遊館大規模改修を実施します。令和4年度につきましては、屋上防水シートの更新等による雨漏り対策、ホール舞台設備の更新等を実施し施設の長寿命化に努めてまいります。舞台設備は令和5年度までの継続事業となりますが、これにより、平成30年度から取り組んできた大規模改修は完了する予定であります。西部公民館、体育施設、各自治公民館等につきましても、それぞれの年次計画に基づいた修繕や自治公民館整備事業補助金を通じて、学びや生きがいづくりを支援いたします。

ミズノ株式会社とのまちづくり提携事業につきましては、令和2年度をもって当初の計画期間である5年が終了し、令和3年度から2期目の提携期間に入っています。

第1期で、「町民の健康維持には、歩くことの継続が最適」との結論に達したことから、2期の5年間ではこのテーマに重点的に取り組むこととしております。具体的には、3カ年事業の「ウォーキング普及事業」に着手し、「歩くこと」による町民の健康推進を強力に進めてまいります。

いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち【健康福祉】

第3の目標であります、「いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち」、健康福祉分野につきまして、2つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は健康増進分野であります。

令和4年度につきましても、新型コロナウイルスのワクチン接種は最優先事項として取り組みます。1月からスタートした3回目の接種につきましては、2回目までと同様に、町内の医療機関、医師の先生方と連携し、集団接種と個別接種にて対応しているところでありますが、希望される方には概ね4月末日まで接種を完了できるよう進めております。PCR検査につきましては、令和3年度と同様、個人負担なしで受けられるよう、各医療機関等と連携して取り組んでまいります。

平成25年6月から積極的勧奨が差し控えられていた子宮頸がんワクチンにつきましては、今般、国の方針が見直され、令和4年度から個別勧奨が再開されます。小学6年生から高校1年生までの「定期接種」対象者に加え、積極的勧奨の差し控えにより、接種機会を逃した高校2年生から25歳までの世代についても「キャッチアップ接種」の対象としておりますが、副作用等のリスクも皆無ではないことから、適切な情報提供を行いながら、接種を推進してまいります。

 

2つ目は医療・福祉分野であります。

地域医療の拠点である町立病院につきましては、従来の診療のほか新型コロナウイルス感染症診療・検査医療機関として患者の受け入れを行います。各種補助金、交付金等を活用しながら感染予防策対策を徹底し、コロナ禍にあっても安心して利用できる医療を提供いたします。

昨年度オープンした「地域福祉交流施設 すぽっと」につきましては、開館日を週3日から5日へ増やします。運営事業の受託業者である「まざれーな」の皆さんと連携しながら事業内容を充実させ、家の中にこもりがちになる高齢者の居場所づくり、生きがいづくりを支援いたします。

また、障がいを持つ子どもの通学支援につきましては、令和4年度についても引き続き、特別支援学校に通う小学生の通学タクシーに添乗員を同乗させ、子どもたちや保護者のさらなる安心・安全の向上に努めます。

豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち【生活環境】

第4の目標であります、「豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち」、生活環境分野につきまして、4つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は住まい分野であります。

住みやすく多様な住環境の整備といたしましては、持家住宅建設補助、木材製品利用住宅建設補助を継続して実施してまいります。

年々深刻化する空家対策につきましては、空き家バンク制度や改修補助金等で引き続き利用を促進するほか、空家解体補助を通じ、空家を生まない仕組み作りに努めてまいります。空家バンクの運営は、外部からの移住相談窓口も含めた業務として令和元年度から民間委託しておりますが、令和4年度につきましては空家を紹介するホームページの充実のため、予算を増額計上しております。

 

2つ目は交通分野であります。

町民の足確保対策では、デマンドタクシーの運行をはじめ、75歳以上の方の負担軽減として、デマンドタクシー料金の半額化、山交バス運賃の補助を継続するほか、令和4年度につきましては、デマンドタクシー等で町立病院など町中心部を訪れた方が2次目的地へ移動する際の支援のための実証実験を実施いたします。

町道整備につきましては、継続事業の一本松線、赤釜線、今平線に加え、通学路の安全確保対策として令和4年度から大町西原線の改良事業に着手いたします。

一昨年の豪雨災害で崩落した今平大船木線につきましては、当初、令和3年度に取り組むべく予算計上しましたが、昨年春の融雪時に被害が拡大したことから、再度測量設計、地盤調査等を実施し、令和4年度にあらためて復旧工事に着手いたします。

 

3つ目は環境分野であります。

アフターコロナの経済再生の目玉として、国は「デジタル」と「グリーン」を掲げており、そのうちの「グリーン」、すなわち、環境政策については、地球温暖化に対する世界規模の取組みや、近年多発する大規模災害を受け、「脱炭素化」を合言葉にした動きが多方面で見られています。

当町におきましては、これを機に庁舎の大規模改修に着手し、令和6年までの3カ年計画で、空調、電気等設備面を中心とした省エネ改修を実施いたします。現在、築50年が経過しておりますが、今後約20年使用することを想定し、機能向上と長寿命化を図ります。町政の要である庁舎で先進的に「脱炭素化」を進めることにより、こうした動きを町内に広く波及させていく所存であります。

また、太陽光発電設備や木質バイオマス燃焼機器への補助を継続し、再生可能エネルギーの導入を促進いたします。

 

4つ目は防災分野であります。

安心して暮らせる地域の防災体制を構築する取り組みにつきましては、消防団員の確保、待遇改善策の一環として、継続して運営支援金を支給いたします。

災害へ備えるための基盤整備としましては、平成15年に整備し、約18年間使用した消防指令車を更新いたします。車種につきましては、現在のようなSUVタイプから大容量のミニバンタイプに変更することにより、有事の際の人および物資の輸送機能を高める考えであります。

また、消防団拠点施設として、役場西側駐車場に車庫兼倉庫を整備いたします。消防指令車のほか役場消防部の車両、そして、現在1の1車庫にある資機材車を格納し、機能を集約するほか、「第2備蓄倉庫」として、コロナ対策関係の物品が増え、手狭になっている既存防災備蓄倉庫の機能を拡充する予定です。

地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち【地域づくり】

第5の目標であります、「地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち」、地域づくり分野につきまして、2つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は地域づくり分野であります。

6総のキーワードの一つでもある「つながり」は、地域や人々の支え合い活動を想定しています。令和4年度につきましても、地域活躍応援事業や草対策事業、さらには集落支援員の配置により、元気な地域づくりを継続して支援してまいります。

地域行事等については、この2年間、コロナ禍で人と人との接触が大幅に制限され、つながりの希薄化が懸念されるところであります。朝日町の良さである助け合いの風土を守るためにも、地域行事まで一律に制限するのではなく、開催・実施を促す仕組みを構築してまいりたいと存じます。

 

2つ目はまちのにぎわい・元気づくりに関する施策でございます。

「つながり」が意味するもう一つの言葉は、町外との交わり、すなわち「交流」であります。交流人口、関係人口、定住人口を増やすための新たな仕組みとして、令和3年度に創設した「若者移住・定住支援事業」を継続し、30歳未満学卒者のU・Iターン、地元定着を促進します。

令和4年度につきましては「移住者引っ越し補助金」や「暮らし体験・移住希望者受入れ事業補助金」を創設するほか、「暮らし体験推進補助金」を拡充いたします。これらの新たな施策に関する情報発信や移住者を希望する人のコーディネートは、地域おこし協力隊の「移住交流推進員」「つながり創出推進員」が担い、アフターコロナを見据えた移住促進策を多方面から展開してまいります。

また、東北芸術工科大学との連携事業として「地域循環型経済構想策定事業」に取り組みます。町民の所得向上や就労機会の確保につなげる新たな事業として、 農業や再生可能エネルギーの分野で、りんごとワインに続く新たな魅力・柱を打ち出すことができないか、実現可能性を調査するもので、エネルギーの地産地消、農業法人誘致などを多角的に検討いたします。

町民と行政が相互に信頼できるまち【まちの経営方針】

これら5つの基本目標を実現させるための「まちの経営方針」につきましては、「町民と行政が相互に信頼できるまち」として、3つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は住民と行政の協働であります。

第6次朝日町総合発展計画につきましては、平成30年度から令和9年度までの10年間を期間としており、令和5年度から折り返しの後期5年間となります。令和4年度につきましてはその前年にあたることから、計画の中間見直しを実施し、前期5年間の社会情勢等を踏まえた内容に更新いたします。

更新のプロセスについては、策定時と同様、町民の皆さんと一緒に検討することを重視し、11月まで、4回ディスカッション形式の協議を行う予定です。

 

2つ目は効率的な行財政経営に関する施策であります。

町民満足度を重視した行政サービスを行うためには、安定した行財政基盤が欠かせません。今後も最小の経費で最大の効果を上げることを心がけ、持続可能な財政運営に努めてまいります。令和4年度につきましては老朽化が著しい公所会館の解体や法定外公共物管理システムの導入、財務規則の改訂等を実施いたします。

財政運営につきましては、近年の道の駅やロッジしらくら等の整備に加え、創遊館の大規模改修や学校エアコンの整備等大型事業が相次いでおり、町債残高や公債費が伸びています。令和4年度につきましては公債費のピークとなることから、例年以上に道路・施設整備事業を精査するとともに、基金の積極的な活用により町債発行額を大幅に抑制しています。

ふるさと納税につきましては、令和3年度から業務を外部委託しておりますが、返礼品や受付サイトの追加等が功を奏し、節目となる1億円はすでに上回っております。今後は予算現額の1億1,600万円程度での着地となる見込みで、令和4年度につきましても同水準の寄付額を見込んでおります。

また、今般地域再生計画を策定し、企業版ふるさと納税につきましても受けられるようになりますので、現在、交流のある企業等を中心に周知し、財源の確保と一層の提携・連携強化に努めてまいります。

 

3つ目は高度情報化・広聴であります。

コロナ禍で人と人との接触が制限されたことにより、社会の仕組みが大きく変わろうとしています。特に行政分野においては他国と比較して効率化やデジタル化が立ち遅れていることが指摘されており、国はアフターコロナの経済再生の目玉に「デジタル」を掲げています。

国は昨年9月、本事業の旗艦官庁となる「デジタル庁」を発足させ、各種事業を加速させております。令和4年度における当町の取組みとしましては、「官民連携によるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進事業」として、民間企業と提携しながらDXに精通する外部人材を司令塔に登用し、今後の全庁的なDXの検討に着手いたします。

個別の施策としましては、マイナンバーカードを活用することにより、子育てや介護に関する約26事業のオンライン申請を可能にする「自治体オンライン手続推進事業」を実施するほか、ホームページを改修し、ラインなどのSNS(ソーシャルネットワークサービス)との連携を強化します。

また、テレビの難視聴対策としましては、テレビ共同組合等が実施する施設改修事業を補助金で支援いたします。

最後に

「チャレンジ・つながり・希望 ~町民が活躍し笑顔あふれるまち~」。コロナ禍で先行きが見えない状況ではございますが、町民が主体となってチャレンジの輪がつながり、希望が溢れる暮らしを送ることができるまちづくりの実現のため、令和4年度におきましても、全力で取り組んでまいります。

以上、令和4年度の施政方針につきまして、申し上げました。

議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

施政方針とは

 町長が、町議会でその年の運営方針や政策について所信を示す演説です。

 本文は施政方針の原稿であり、朝日町議会令和4年3月定例会当日(令和4年3月2日)の筆記録ではありません。実際の演説とは相違点があることを申し添えます。

この記事に関するお問い合わせ先

総務課 財務係

〒990-1442
山形県西村山郡朝日町大字宮宿1115
電話番号:0237-67-2111
ファックス番号:0237-67-2117
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更新日:2023年03月29日