令和5年度施政方針

令和5年3月定例会

  • はじめに
  • 令和5年度の町政運営の基本方針
  • 令和5年度当初予算
    • 技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち【産業経済】
    • ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち【教育文化】
    • いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち【健康福祉】
    • 豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち【生活環境】
    • 地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち【地域づくり】
    • 町民と行政が相互に信頼できるまち【まちの経営方針】
  • 最後に
  • 施政方針とは

 本日、朝日町議会3月定例会の開会にあたり、議員各位におかれましては、町政の発展に日頃からご尽力いただいておりますことに対し、感謝を申し上げます。

ここに、令和5年度当初予算をはじめ、重要案件のご審議をお願いするに当たり、町政に取り組む所信の一端を申し述べ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

はじめに、この一年を振り返りたいと存じます。

令和2年1月に国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてから、すでに3年が経過しました。この一年間におきましては、感染拡大防止と生活維持・経済再生との両立を目指す「ウィズコロナ」の動きも定着し、医療提供体制の強化やワクチン接種の加速も受けて、社会の様々な場面で規制が緩和されていきました。「出口戦略」に向けた動きが本格化した一年となりました。

先般、政府は今年5月8日をもって、コロナ感染症の法律上の位置づけを、現在の2類から、季節性インフルエンザと同じ5類へと移行することを決めました。これにより、今日も続いている就業・外出制限が撤廃されることになり、世界中を混乱に陥れた未曾有の感染症との戦いもようやく終わりが見えてきました。

実際の社会生活に目を向けると、テレビ・新聞等の報道や、私自身上京した際に見聞きしている限り、都市部ではかなりの水準でコロナ前の生活が戻り、経済活動が大きく再開されたと感じるところであります。一方、本県をはじめとした地方では、まだまだ動きが鈍く、特に飲食業については依然として冷え込んでいる状況であり、今後本格的な再開が待たれるところであります。

このように、コロナ禍については明るい方向に進んでいることを実感できる一年でしたが、そうした状況に水を差したのが、ロシアによるウクライナ侵攻でありました。ちょうど一年前から始まったこの出来事により、歴史的な円安、物価高騰が誘発され、特に社会インフラの一つである電気料金については、かつてない水準まで高騰するとともに、今後さらに値上げされる見通しとなっております。国内では依然として、人口減少、少子高齢化、災害の頻発化・激甚化など、従来の重要課題もあり、国内外の難局が同時に、かつ複合的に押し寄せております。まさに、これまでの延長線上にない世界を、私たちは生きております。

こうした状況に対し、町は国の交付金等を活用しながら、引き続き個人向けの生活支援策、事業者向けの経営支援策等を実施し、懸命に地域経済の下支えを行ってきましたが、今般の物価高騰により、暮らしや経営に対する不安の声は大きくなっております。今後も切れ目のない対策を講じることにより、全力を挙げて町民生活を守っていく所存であります。

他方、コロナ禍以降の社会変化を前向きにとらえ、新たな価値や暮らし、仕事の創造へ結びつける動きも一層加速しております。

リモートワーク等、多様な働き方をはじめ、DX、つまり、デジタル技術やAI、マイナンバーカード等を活用したデジタル分野の取組み、さらにはGX、いわゆる脱炭素化社会の実現に向けた環境分野の取り組みなどであります。政府はこれら新分野、新技術を「新しい資本主義」と位置づけ、少子高齢化、過疎化、防災・減災対策等、社会課題の解決に活用していくこととしています。

数年前には想像もつかなかったこうした変化について、私は昨年のこの場で、「社会の大きな変革につながる胎動」と申し上げましたが、今日、その胎動は、すでにこの世で産声を上げ、社会の中で日々成長していると実感するところであります。感染症という「試練」を経て、社会や暮らしは大きく変わりました。

 

これは、当町も同じであります。

「コロナ禍だからできない」ではなく、「コロナ禍を機に見直す、改める、打ち出す」こと――。すなわち、「できない理由を探すのではなく、できる方法を考える」。コロナ禍以降の3年間、私が特に重視してきた言葉であります。

令和3年度は成人式のオンライン対応やワインまつりの代替企画「おうちでワインまつり」などを実施しましたが、令和4年度につきましても、「町長と語ろう」を小規模ながら「移動町長室」として再開し、3年ぶりに地域の皆様方と意見交換をさせていただきました。また、「空気神社ライトアップ事業」につきましては、新聞やテレビでも取り上げられ、新たな魅力を発信することができました。コロナ禍でも無理なく実施できると企画しましたが、その反響ぶりから、新たな観光コンテンツとしての大きな可能性を感じたところであります。まさに、「ピンチをチャンスに変えるチャレンジ」から新事業が生まれました。

 

コロナ禍は収束の兆しが見えてきたものの、国際紛争に起因する物価高騰、そして、地球規模の気候変動がもたらす大規模な自然災害、さらには、人口減少、少子高齢化等、依然として課題は山積しています。しかし、どんな状況下においても、将来を見据え、「今私たちにできることは何なのか」、また「私たちがすべきことは何なのか」と自問自答し、一つ一つ丁寧に課題を解決し、町民の幸せを創造していくことが、町を預かる私の責務であると自覚しております。小さな町だからこそできることを大胆に発想し、判断し、町に活力をもたらす――。私が思い描くまちづくりの理想は、就任当初から一貫して変わっておりません。

これは、第6次朝日町総合発展計画の軸に据えた「希望活動人口」の考え方にもつながります。「人口規模は小さくても、自分の夢や希望に向かって、また、元気なまちをつくるために、積極的に行動する人、すなわち、『希望活動人口』の密度を高めていくことで、まちを元気にしたい」――。私の信条である「やる気・挑戦」、つまり、チャレンジを続けることで、この苦難を乗り越えていく覚悟でございます。

先般、子ども議会で小学生からこの「希望活動人口」という言葉を聞いたとき、私は思わず胸が熱くなりました。言葉の意味をきちんと理解し、私に訴える姿に、頼もしさを感じるとともに、「子どもたちのためにがんばろう」と、奮い立つ感情が込み上げてきました。ここにおられる全ての方が同じ思いを抱かれたのではないでしょうか。

 

社会情勢がめまぐるしく変化する状況のなかではございますが、令和5年度につきましても、やる気と挑戦の気持ちをもって町政のかじ取りを担わせていただき、この試練を乗り越えていく所存でございます。

令和4年度の町政運営の基本方針

平成29年度策定した第6次朝日町総合発展計画では、目指す将来像に「チャレンジ・つながり・希望 ~町民が活躍し笑顔あふれるまち~」を掲げ、特に重視すべき柱として、次の5本の基本目標とそれを実現させるための「まちの経営方針」を定めました。

1.技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち【産業経済】

  1. 農業
  2. 仕事の確保(商工業)
  3. 交流・観光

2.ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち【教育文化】

  1. 子育て
  2. 学校教育
  3. 生涯学習【スポーツ・文化】

3.いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち【健康福祉】

  1. 健康増進
  2. 医療・福祉

4.豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち【生活環境】

  1. 住まい
  2. 交通
  3. 環境
  4. 防災

5.地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち【地域づくり】

  1. 地区づくり活動
  2. まちのにぎわい・元気づくり

町民と行政が相互に信頼できるまち【まちの経営方針】

  1. 町民と行政の協働
  2. 行財政経営

令和5年度は、第6次朝日町総合発展計画の中間見直し後初年度にあたります。コロナ禍や物価高騰、GX、DX等、計画策定時には想定できなかった国レベルの事案のほか、学校や観光施設のあり方等、令和4年度に方向性が固まった町独自の課題について、具体的な取組みを進める重要な年となります。

今般軌道修正した計画に沿いながら、目指すべき将来像に向かって、新たな一歩を踏み出していきます。

令和4年度当初予算

令和5年度当初予算につきましては、実施計画の基本方針に基づき、「第6次朝日町総合発展計画」及び「第2期朝日町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を着実に推進するべく、編成したところであります。

大きな視点で申し上げますと、先般の予算内示でご説明させていただいた通り、GX、DX等、計画策定後に生まれた新たなメガトレンド、そして、学校や観光施設の検討結果を踏まえた施策に着手する重要な一年となります。また、ようやく見えてきたコロナ禍の収束も相まって、今後は様々な活動が再開されていくことと思われます。令和5年度につきましては、これらの要素を総括し、「リスタート」、いわば「再始動」の年と位置付ける所存であります。

このほか、公共施設の長寿命化は引き続き重要テーマに位置付け、庁舎の大規模改修工事を実施するほか、学びの環境、子育て支援の充実につきましても、これまで以上に注力し、施設改修や経済的負担の軽減に努めます。さらには、官民連携の推進、移住・定住支援策等の重要課題や、議員の皆さまをはじめ、学校、PTA、地域の皆さまから頂戴した請願、要望につきましても、可能な限り予算に反映させております。

以上の基本的な考えに基づき、第6次朝日町総合発展計画の5つの基本目標と、まちの経営方針に沿って実施するプロジェクトにつきまして、詳細をご説明いたします。

技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち【産業経済】

第1の目標であります、「技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち」、産業経済分野につきまして、3つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は農業分野であります。

農業分野における町の最大の強みはりんごであります。一方、担い手確保が喫緊の課題となっており、町は令和4年度に「あさひりんごの郷協議会」を立ち上げ、「りんご産地活性化事業」に着手しました。事業期間は6年度までの3年間で、今後は新規就農者の全国公募や第3者に対する承継等を強化しながら、朝日町のりんご産地とブランドの維持に努めてまいります。

りんご以外の農作物につきましても、「チャレンジファーマー応援事業」や「ワイン用ぶどう栽培支援事業」「ブランド米生産促進補助」などを継続し、米や果物、園芸作物など多様な農業にチャレンジできる環境を整備します。

就農環境の整備、農機具等購入に対する支援につきましても、電動アシスト付剪定ハサミ、自動草刈機、パワーアシストスーツの購入に対して補助を行う「スマート農業化支援事業」をはじめ、簡易トイレの整備に対して補助を行う「農業労働力環境整備事業」、そのほか「認定農業者農機具等支援事業」等を通じ、省力化、効率化を継続して支援いたします。

県営事業の宮宿中郷地区ため池改修工事につきましては、平成24年度に、工事の前段となる調査、測量が開始されてから10年が経過しておりますが、今般、施工中の大沢口のため池改修工事が令和5年度をもって完了する見通しとなりました。一連の事業がすべて完了することとなり、近隣住民の安心・安全がより一層図られるものと感じております。

 

2つ目は仕事の確保、商工業分野であります。

コロナ禍および燃料費・電気料金の高騰等により、町内でも各事業所や商店は依然として厳しい経営を強いられています。令和5年度予算では、コロナ禍で緊急的に融資を受けられた事業者の利子相当分を負担する「中小企業緊急災害等対策利子補給事業」等を計上しておりますが、電気料金につきましては今後さらに値上げされる見通しであります。今後の動向次第では機動的に補正予算を組み、町内経済をしっかりと下支えしてまいる所存であります。

また、ニーズの高い産業立地促進奨励金事業や創業支援事業補助金事業は継続し、コロナ禍を踏まえた新たな設備投資や創業につきましても応援してまいります。

 

3つ目は交流・観光分野であります。

観光面につきましては、令和5年度、複数の大型事業が動き出す一年となります。

まずは、観光3施設の運営会社統合であります。町は先般、Asahi自然観、道の駅あさひまち、りんご温泉の運営会社を統合する方針を固めたところであります。令和7年4月の統合に向け、業務は5年度から2か年事業で実施いたしますが、今後のまちづくりを左右する重要な業務ですので、各施設の従業員、スタッフと十分に協議しながら、スムーズな移行に向け各種手続きを進めてまいります。

次に、Asahi自然観の改修でございます。平成元年のオープン以来、皆様に愛されてきた自然観も築30年以上が経過し、老朽化が進んでおります。ここ数年で紆余曲折がございましたが、先般、ホテルにつきましては令和6年度いっぱいで営業を終了し、宿泊はコテージに集約することといたしました。令和5年度につきましては、コテージ村全体の魅力を高めるため、リニューアルのための基本構想を策定し、コロナ禍を経た新たな観光ニーズの取り込みに向け、対応してまいります。

また、「空気神社ライトアップ事業」につきましても、予算を増額して継続いたします。カーボンニュートラルをはじめ、環境への関心が高まる中、その先進的な象徴として「空気神社」への注目度も高まっており、再ブレイクの兆しが見られています。昨年の盛況ぶりを踏まえ、今後、夏の新たな観光コンテンツとして育ててまいります。さらに、りんご温泉併設の旧農業研究所につきましては、観光事業者等への貸付を想定し、レンタルオフィス整備事業として改修いたします。

このように、町の観光事業は今、大きな岐路に立っています。この大変革を機に、観光政策全体を網羅する「観光振興計画」についてもしっかりと改訂し、長期的な目線に立った指針として活用してまいります。

ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち【教育文化】

第2の目標であります、「ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち」、教育文化分野につきまして、3つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は子育て分野であります。

今年1月、岸田内閣総理大臣は年頭会見で「異次元の少子化対策」に挑戦することを表明しました。1970年代の第2次ベビーブーム時に200万人を超えていた国内出生者数は2022年度(令和4年度)、80万人を割り込む見通しとなっております。人口は社会の根幹であり、現状の加速度的な減少は国力を揺るがす問題であることから、これまでにない強い表現で決意を表明したものと思われます。

少子化がさらに顕著な当町においては、令和5年度以降、国に負けない意気込みで、多方面から対策にあたる覚悟でおります。

まず、子育てにかかる負担軽減の取組みとしては、令和4年度の「未満児家庭保育応援金」に引き続き、令和5年度につきましては、「はばたくあさひ応援金」を創設いたします。高校進学にあたり、町からはばたく子どもたちを支援するもので、一人あたり10万円を給付いたします。

また、今年1月から実施している国庫補助事業の「出産子育て応援事業」につきましても継続し、妊娠届時に5万円、出産届時に5万円、合計10万円を給付いたします。従来の「出産支援給付金」につきましては、58,000円分の県補助が打ち切りとなるものの、一般財源で一人7万円の給付を継続いたします。その名称につきましては「すこやかあさひっ子祝金」に変更するとともに、3万円分の子育て用品を進呈する従来の「出産祝品」についても、名称を「すこやかあさひっ子祝品」と改めながら継続し、「すこやかあさひっこ」の2事業合計で10万円の給付を継続いたします。

保育環境充実のための取組みとしましては、近年、あさひ保育園の0歳児保育希望者が急激に増加していることを受け、3歳未満児室を増築いたします。保育園の通園バスにつきましても2台のうち1台を更新し、より安全な通園環境を整えます。

 

2つ目は学校教育分野であります。

学校教育に関する大きな方向性としまして、町は先般、町内の3小学校と中学校を統合し、新しい義務教育学校を創設する方針を固めました。この実現に向け、令和5年度からこの業務にあたる専任の指導主事を教育委員会に配置いたします。令和10年4月の開校を目指し、今後ソフト、ハード両面から準備を進めてまいります。

家庭・地域・学校が協働し、きらりと光る学校・地域を作る取り組みとしましては、地域活動推進員によるコミュニティスクール事業、探求型学習を推進するとともに、外国語学習、タブレット機器等を活用したデジタル教育を一層充実させ、社会の変化に対応し、未来を拓く確かな力を持つ子どもを育ててまいります。

また、教育にかかる負担軽減策としまして、令和5年度から小中学校の給食費を無償化いたします。中学校につきましては、これまで自宅から持参していたごはんも給食として提供することとし、文字通り完全給食を実現いたします。

 

3つ目は生涯学習、スポーツ・文化分野であります。

潤いのある生活を楽しむ生涯学習を推進する事業の施設整備としまして、引き続き創遊館大規模改修を実施します。令和5年度につきましては、2か年事業のホール舞台設備更新工事の2年目でありますが、これが完了しますと、平成30年度から取り組んできた大規模改修が全て完了することとなります。西北部公民館、体育施設、各自治公民館等につきましても、それぞれの年次計画に基づいた修繕や自治公民館整備事業補助金を通じて、学びや生きがいづくりを支援いたします。

ミズノ株式会社とのまちづくり提携事業につきましては、令和2年度をもって当初の計画期間である5年が終了し、令和3年度から2期目の提携期間に入っています。

第1期で、「町民の健康維持には、歩くことの継続が最適」との結論に達したことから、2期の5年間ではこのテーマに重点的に取り組むこととしております。令和5年度につきましては、3カ年事業で進めている「ウォーキング普及事業」の2年目として、同社がすすめるウォーキングアプリを活用しながら、町民、そして事業所の皆さんと「歩くことによる健康づくり」を進めてまいります。

いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち【健康福祉】

第3の目標であります、「いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち」、健康福祉分野につきまして、2つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は健康増進分野であります。

健康づくりへの意識を高め、生活習慣病の発症と重症化を防ぐ取り組みとしまして、令和5年度は「健康増進計画」の策定に取り組みます。事業期間を10年としているもので、今回は従来の保健事業に加えて食育・地産地消計画も盛り込み、文字通り健康増進分野の柱に据え、長期的な目線で事業を推進してまいります。

町内の入浴施設につきましては、令和2年度より「朝日町健康づくり推進事業」を通じて間接的に支援しているところですが、昨今の燃料費、電気料金の高騰により、苦しい経営を強いられております。令和5年度につきましても、4年度に実施した「公衆浴場燃料費高騰対策事業補助金」を継続し、経営を支援してまいります。

なお、令和5年度における新型コロナウイルス対策、ワクチン接種事業関連予算につきましては、国の動きが不透明であるため、PCR検査を実質無料化するための委託料200万円のみとしているところであります。今後国の方針が固まり、関連予算が必要になった場合は速やかに補正予算を編成し、対応してまいります。

 

2つ目は医療・福祉分野であります。

現在、西村山地域の病院の再編整備が議論されているところでありますが、当町にとりまして、地域医療の要である町立病院は、なくてはならない存在でありますので、今後も必要な改修を実施しながら維持していく所存であります。令和5年度につきましては、病棟、給食棟の外壁改修を実施するほか、レントゲン装置や便潜血分析装置、骨密度測定装置について更新し、質の高い医療の提供に努めます。

病院経営の最重要課題である医師確保につきましては、難局を打開できておりませんが、今後も粘り強く関係機関との交渉を進めてまいります。また、医師以外の人材確保対策につきましても、修学資金貸与事業等を活用し、看護師、薬剤師等の安定的な確保に引き続き努めてまいります。

地域福祉交流施設「すぽっと」につきましては、オープンから3年目を迎えます。コロナの5類移行を機に、これまで制限していたカラオケ等を再開することも検討しながら、事業内容を充実させ、家の中にこもりがちになる高齢者の居場所づくり、生きがいづくりを支援いたします。

豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち【生活環境】

第4の目標であります、「豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち」、生活環境分野につきまして、4つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は住まい分野であります。

住みやすく多様な住環境の整備といたしましては、持家住宅建設補助、木材製品利用住宅建設補助を継続して実施してまいります。みなみハイツにつきましては、平成20年度の竣工から15年となることから、今回、全室の電気温水器(エコキュート)を一斉更新いたします。

年々深刻化する空家対策につきましては、空き家バンク制度や改修補助金等で引き続き利用を促進するほか、空家解体補助を通じ、空家を生まない仕組み作りに努めてまいります。近年、管理不十分で周囲に危険を及ぼす可能性のある家屋が増えておりますので、毅然とした態度で所有者に交渉し、町民の皆さんの安心を守っていく所存であります。

 

2つ目は交通分野であります。

町民の足確保対策では、デマンドタクシーの運行をはじめ、75歳以上の方の負担軽減として、デマンドタクシー料金の半額化、山交バス運賃の補助を継続します。

町道整備につきましては、継続事業の一本松線新設、赤釜線改良の両事業が令和5年度をもっていよいよ完了いたします。前者については平成22年度から、後者については平成27年度からの事業で、足掛け年数はそれぞれ14年、9年となります。一本松線については袋小路が解消され、周遊可能となることから、今後観光面、防災面で大いに活用が期待されるところであります。

3つ目は環境分野であります。

アフターコロナの経済再生の目玉として、国は「デジタル」と「グリーン」を掲げており、そのうちの「グリーン」、すなわち、環境政策については、地球温暖化に対する世界規模の取組みや、近年多発する大規模災害を受け、「脱炭素化」を合言葉にした動きが多方面で見られています。当町におきましても、こうした潮流を的確にとらえ、環境基本計画の中間見直しや公用車の電気自動車購入、さらには町民の皆さん向けの電気自動車購入補助の創設など、令和5年度から関連施策を多数展開していくこととしております。

また、太陽光発電設備や木質バイオマス燃焼機器への補助についても継続し、再生可能エネルギーの導入を促進してまいります。

 

4つ目は防災分野であります。

安心して暮らせる地域の防災体制を構築する取り組みにとしまして、近年、多方面から消防団員待遇改善を進めているところであります。令和5年度につきましては、団員報酬と出動手当の引き上げを実施し、団員確保に努めてまいります。また、防災、防犯、交通安全等を目的に、3カ年計画で町内に防犯カメラを設置いたします。5年度は北部地区を予定し、順次中部地区、西部地区にそれぞれ1基ずつ、計3基設置し、役場からリアルタイムで監視できる体制を整えます。

災害へ備えるための基盤整備としましては、栄町区内への耐震性貯水槽の整備や消防団第一分団第一部ポンプ庫への消防ホース乾燥柱設置、同第2部への小型動力付軽積載車購入等を行います。

雪対策としましては、国庫補助を活用しながら「地域安全克雪方針」を策定するとともに、除雪機購入補助を創設し、地域共助による取組みを支援いたします。

地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち【地域づくり】

第5の目標であります、「地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち」、地域づくり分野につきまして、2つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は地域づくり分野であります。

6総のキーワードの一つでもある「つながり」につきましては、地域や人々の支え合い活動を想定しています。令和5年度につきましても、地域活躍応援事業や草対策事業、さらには集落支援員の増員により、元気な地域づくりを継続して支援してまいります。

新規事業としましては、地域おこし協力隊制度を活用しながら、大谷地区にまちづくり推進員を2名配置し、地域活性化を応援してまいります。この3年間、コロナ禍で大幅に地域行事が制限され、つながりの希薄化が懸念されたところでありますが、今後は少しずつ再開されていくことと思います。朝日町の良さである助け合いの風土を守るために、町としても精一杯支援していく所存であります。

 

2つ目はまちのにぎわい・元気づくりに関する施策でございます。

「つながり」が意味するもう一つの言葉は、町外との交わり、すなわち「交流」であります。交流人口、関係人口、定住人口を増やすための仕組みとして、「若者移住・定住支援事業」を継続し、30歳未満学卒者のU・Iターン、地元定着を促進します。

コロナ禍を契機に、地方移住が再び注目され、町に関心を寄せる方も増えています。町の移住・定住施策に関する情報発信や移住者を希望する人のコーディネートにつきましては、地域おこし協力隊の「移住交流推進員」「つながり創出推進員」が担い、アフターコロナを見据えた移住促進策を多方面から展開してまいります。

昨年10月に取得した前田沢の旧今井邸につきましては、令和5年度から「古民家を活用したにぎわい創出事業」の拠点として活用します。今後はインバウンドの復活、活性化を見据え、外国人が「和」を感じることのできる施設に改修を行っていきます。

町民と行政が相互に信頼できるまち【まちの経営方針】

これら5つの基本目標を実現させるための「まちの経営方針」につきましては、「町民と行政が相互に信頼できるまち」として、3つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は住民と行政の協働であります。

第6次朝日町総合発展計画につきましては、平成30年度から令和9年度までの10年間を期間としており、令和5年度から折り返しの後期5年間となります。令和4年度につきましては、その前年にあたることから、計画の中間見直しを実施し、前期5年間の社会情勢等を踏まえた内容に更新したところであります。

更新のプロセスについては、策定時と同様「協働」の視点を大切にし、町民の皆さんと一緒に検討したところであります。令和5年度につきましては、コロナの5類移行に合わせて「町長と語ろう」を再開し、町民の皆さんとともに考え、ともに築くまちづくりをあらためて進めてまいります。

 

2つ目は効率的な行財政経営に関する施策であります。

 

町民満足度を重視した行政サービスを行うためには、安定した行財政基盤が欠かせません。今後も最小の経費で最大の効果を上げることを心がけ、持続可能な財政運営に努めてまいります。

町は今般、庁舎の大規模改修に着手し、令和6年までの3カ年計画で、空調、電気等設備面を中心とした省エネ改修を進めております。現在、築50年が経過しておりますが、今後約20年使用することを想定し、レイアウト変更を含めた機能向上と長寿命化を図ります。

財政運営につきましては、近年の道の駅やロッジしらくら等の整備に加え、創遊館の大規模改修や学校エアコンの整備等大型事業が相次いでおり、町債残高や公債費が伸びています。公債費については令和4年度がピークで、5年度以降はゆるやかに減少していく見込みでありますが、今後控える観光施設、学校施設の改修・整備に向け、町債残高の削減に努めてまいります。

ふるさと納税につきましては、令和3年度から業務を外部委託しておりますが、令和4年度につきましては返礼品や受付事業者・サイトの追加が功を奏し、過去最高額に近い1億4,000万円程度での着地となる見込みであります。令和5年度につきましても同水準の寄付額を見込んでおりますが、今後は返礼品の代金や送料分も委託料に含むこととし、業務効率化と職員負担の軽減を図ります。

また、企業版ふるさと納税につきましても令和4年度から受けられるようになっておりますので、交流のある企業等を中心に周知し、財源の確保と一層の提携・連携強化に努めてまいります。

 

3つ目は高度情報化・広聴であります。

コロナ禍を経て、社会の仕組みは大きく変貌しました。特に行政分野においては他国と比較して効率化やデジタル化が立ち遅れていることが指摘されており、国は今後の経済再生策の一つに「デジタル」を掲げています。

国は令和3年9月、本事業の旗艦官庁となる「デジタル庁」を発足させ、各種事業を加速させております。令和5年度における当町の取組みとしましては、庶務管理システムの導入による業務効率化やマイナンバーカードを活用した戸籍・住民票・税等証明書交付事業等を実施し、町民の皆さんの利便性向上に努めます。また、令和4年度に続いてDX推進アドバイザー委嘱し、今後の各種事業の軸となるDX推進計画を策定いたします。

最後に

「チャレンジ・つながり・希望 ~町民が活躍し笑顔あふれるまち~」。コロナ禍で先行きが見えない状況ではございますが、町民が主体となってチャレンジの輪がつながり、希望が溢れる暮らしを送ることができるまちづくりの実現のため、令和5年度におきましても、全力で取り組んでまいります。

以上、令和5年度の施政方針につきまして、申し上げました。

議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

施政方針とは

 町長が、町議会でその年の運営方針や政策について所信を示す演説です。

 本文は施政方針の原稿であり、朝日町議会令和5年3月定例会当日(令和5年3月3日)の筆記録ではありません。実際の演説とは相違点があることを申し添えます。

この記事に関するお問い合わせ先

総務課 財務係

〒990-1442
山形県西村山郡朝日町大字宮宿1115
電話番号:0237-67-2111
ファックス番号:0237-67-2117
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更新日:2023年03月29日