2007年12月_始めと終わり

高校時代、少しの期間ではありましたが、私は野球部に所属しておりました。

秋の日の夕刻、辺りはすっかり夕闇に包まれ、グランドを照らす照明が、茶色い土をくっきりと浮かび上がらせていました。

「おい、ラストだ。がっちり取れ!」
部員は監督の掛け声の下、最後のノックを受けていました。私はショートの守備に着き、自分の番を待っていました。私の前の先輩が一回二回とボールを逸らし、疲れた身体を投げ出すようにようやく地面から立ち上がりました。
「集まれ!」
監督の鋭い声。一人ひとりを見回しながら、
「最初の一球とラストの一球は、一回しかないんだ。どんなに何回もノックをやっても、最初と最後は一回しかないんだ。大切にやれ!」
そのことばを聞いてから約30年の歳月が過ぎましたが、今でもあのときのことばと情景は、はっきりと私の心に刻み込まれています。
「始め」と「終わり」を大事にする。その心構え、事に当たる姿勢が「始め」と「終わり」のみならず、一球に対する、また、すべての事柄に対する真摯な姿勢となり、終わりは自らで閉めなければならないという、非常に強い自己責任を負っていることを、30年経った今でも、不思議な力を持って私に語りかけてくるのです。
師走、12月。年の瀬に向かい、「始め」と「終わり」を皆さんで考えてみてはいかがでしょうか。
今年一年を振り返りすべての皆さんに感謝しつつ、来年もさらによい年でありますよう、心からお祈り申し上げます。


広報あさひまち 2007年12月号より

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更新日:2019年03月29日