2018年12月_花の命をいける
命は命によって受け継がれていく
「華道とは 花の命をいけるもの」――。なるほど、そうだったのか。と、一人感心しながら、その挨拶を聞いておりました。それは11月3日に開催された、町の芸術文化祭開会式典の席上、芸術文化奨励賞を受賞された藤沢吉榮さんが、受賞者代表として挨拶された言葉の一節です。
いけばなはただ単に、美しい花、可憐な花を、芸術性を高めながら花台や花器にいけていくものだと思っていた私に、非常にインパクトのある言葉として突き刺さってきました。生きている花の命さえ忘れていた日常の中にあって、私たちは互いの命の有り難さも忘れ、無機的に、または無感覚に生きている。そんな気付きに、はっとさせられた思いです。私たちはすべて生きものと共にあって、「生」を繋いでいるのです。
「いただきます」は食事前の挨拶です。子どもの頃から何気なく使っている言葉の意味さえ深く考えることもなく、ただ無意識に箸をとり、茶碗を持って食事をする。そこに感謝の気持ちなど忘れてしまった日常が積み重なり、私たちの生活は無味乾燥なものとなっていくのです。一箸一箸味を確かめ、命を与えてくださった生き物たちに感謝の気持ちを込めて食事をすることができたなら、どんなに豪奢な生活よりも、有り難い、充実した暮らしが送れる。それを気づかせてくれた挨拶でありました。
命は命によってのみ受け継がれていくのです。
温かい生命の源である母親の胎内から生まれてくる命は、やがて大人となり、次の世代の命を繋いでいくのです。
年の瀬に、命の有り難さを考えながら、生きていることへの感謝に思いを廻らしている今日この頃です。
広報あさひまち 2018年12月号より
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更新日:2019年03月29日