町長歳時記 2021年8月_東京2020オリンピック

逆境の中にある人間の精神力とは一体どこから来るのだろう。と、スポーツを観戦しながら思うことが度々あります。それが4年に一度のオリンピックという世界最高の場であれば尚更のこと、オリンピックアスリートから目が離せません。

東京2020オリンピック第3日目。卓球混合ダブルス日本の水谷・伊藤組が臨んだ準々決勝対ドイツ戦。ゲームカウント3対3で迎えた最終ゲーム。2対9と圧倒的な点差でドイツにリードされ、あと2点取られると敗退が決まってしまう。見ている方も諦めかけた絶望的な場面。そこからの日本チームの驚異的な粘り。水谷の気迫のプレー。それに必死について行く伊藤の姿。「大丈夫。落ち着いて行こう」と励まし続けた先輩水谷の言葉を、文字通りの100％信じ切ってついて行った後輩伊藤のひた向きさ。7度のマッチポイントを乗り越えた大逆転勝利。

多くのドラマが生まれ、そして語り継がれる東京2020オリンピック。私の心に響き続ける言葉「オリンピックを開催していただいたことに感謝します」ほとんどの金メダリストの第一声がこの言葉から始まりました。

しかしこのオリンピックを取り巻く状況は、大変厳しいものがありました。普通にあるべきことが、もしかしたら無くなってしまうかもしれない。そんな不安と焦燥の中開催されたオリンピック。多くの選手たちは4年に一度の大会を目指し限界に挑戦し、日々努力を積み重ね、一年間の延期を乗り越え、代表の座を獲得して来ました。彼らはどんな状況にあっても、自分を信じ、必ず来る未来を信じ、不屈の精神で前向きに困難を乗り越えてきました。そんな意思ある生き方が未来を拓き、世界を作っていくのだと、全てのオリンピックアスリート、そして彼らを支え続けた大勢の人々が、私たちに語りかけているのが、東京2020オリンピックであると思います。

広報あさひまち 2021年8月号より