平成20年度施政方針

平成20年3月定例会

  • はじめに
  • 第5次朝日町総合発展計画の確実な推進
  • 地方財政計画の状況
  • 行財政改革の推進
  • 平成20年度当初予算
    • 信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』
    • 安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』
    • 安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』

 町議会3月定例会の開会にあたり、町議会定例会に提案しております議案の説明に先立ち、町政運営について所信の一端を申し上げ、議員各位並びに町民の皆さんのご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

 町長就任以来、「何とかこの町を良くしよう、暮らしを良くしよう、少しでも住みやすい町をつくりたい」という思いで町政にあたってきたところであります。

 今年度は、昨年度策定した「定住促進ビジョン」を具現化するとともに、新しい町づくりの道標として、「第5次朝日町総合発展計画」の策定に取り組んだところであります。策定にあたっては、行政は、常に町民の立場に立って、町民が何を求めているのかということを、念頭に置かなければなりません。将来の不安を無くす仕組みをつくり、その基礎の上に、誰もが安全で安定した暮らしを実感できるような施策を構築するということを基本に計画を策定したところであります。

 平成20年度はこの総合発展計画の初年度であり、朝日町の新たな町づくりがスタートする年となります。町民の皆さんの知恵と力を結集し、力強くスタートを切ってまいりたいと考えております。

第5次朝日町総合発展計画の確実な推進

 最初に、今後の施政の基本方針となり、平成20年度を初年度とする10年間の新しい町づくりの道標である「第5次朝日町総合発展計画」の基本的考え方について申し上げます。

 21世紀初頭の日本全体が人口減少社会に突入するなど構造がいろんなところで変革を見せており、これまでに経験したことのない新たな課題が各分野に起きています。こうした変革に対応する新しいまちづくりの仕組みをつくり、未来を切り開き次世代につなぐ町づくりを進めることが必要となっています。

 また、地方分権型社会への移行が求められ、地方が特色のある個性的な地域づくりを行うことが求められ、もっている強みを最大限にいかし地域色豊かな特徴のある町づくりを進めることが重要となっています。

 朝日町には誇れる宝が沢山あります。私たちは今一度朝日町のもつ宝を再確認し、郷土に対する誇りを再認識し、この宝を活かし特色のある個性的な地域をつくりあげることが「ここが朝日町、これが朝日町」と呼べる世界にひとつだけの朝日町をつくることになります。過去から伝えられてきたものをそのまま未来へつなぐだけではなく、現在の知恵を活かし、将来にわたり、自分たちがずっと住み続けたいまちをつくることが、私たちの責務です。

 そして、いつの時代にも住む人が自信をもち、地域に誇りをもって、自らの手で魅力のある地域をつくり続けることが自立した地域をつくることになります。

 こうした考えのもと「いつの時代も自信と誇りを持ち 住みたい 住み続けたい魅力あるまちをつくる」ことを基本目標に掲げました。そして、世界で唯一「空気の日」を定めた私たちの先輩方の意思を受け継ぎ、将来の姿として「空気澄み 人つながり 志高く 未来を拓く 朝日町」をめざしてまいります。

 こうした町づくりを進めるため、2つの町づくりの理念を掲げました。

 1つは「『ともに考え、ともに築く』まちをつくる」ということであります。地域をつくる原動力は地域に住む人々の知恵とやる気、そしてそれを支える行政と地域との信頼関係であります。

 一人ひとりが互いを信頼しあい真の絆「つながり」をつくり、その上に、一人ひとりがもっている知恵、技術を出し合い、結集することにより、地域のもつ力が十二分に発揮できます。

 また、地域の力が主役となることにより、真に地域に根差した地域づくりができます。情報や専門的な知識等行政がもっている力を活かし、地域とともに考え、行動することが、信頼関係を生みます。この地域との信頼関係を築き、地域との役割分担と連携のもと地域づくりを進めることが、今後の地域経営にとって最も重要です。

 つまり、地域の人と人、地域と行政の真の「つながり」のもと、ともに考え、ともに築くまちづくりを進めることが、町づくりの真の原動力となります。

 2つ目が「『交流』による活力あるまちをつくる」ということであります。活気のある元気な地域づくりを進めるためには、これまでのエコミュージアムによる内発的な地域づくりを一歩進め、交流により外の知恵や技術などを活かし、新たな発展を探求することが必要です。

 「外の目」を通しみることで内からの目では気づかない地域の良さの再発見があります。また、外の知恵や技術と交わることにより新たな創造もあります。さらに、地域だけの力ではできないことも可能となります。そして、交流により人が集まりにぎわいが生まれ、地域が元気になります。

 今後は、エコミュージアムで築きあげてきた内発的な力を活かし、交流という新たな力を地域づくりや経済力の強化に活かし、どこにもない朝日町づくりをめざしていきます。

 そして、この計画を実現するための基本方向として、「地域力」、「産業力」、「定住力」の3つの力の向上ということを掲げました。

 まず、信頼とつながりにより地域の力をつくる「地域力の向上」についてですが、地域づくりの原動力は、地域に住む人々の知恵・技術と地域への熱い想いです。

 そして、地域づくりへの「志」を高めていくためには、地域に対する愛着心を高めていくことが重要です。それは、子どものころから地域の良さを知り、地域に対する誇りと自信を持つことから始まります。

 次代を担う子どもたちを育てていくことは、大人の責務です。一人ひとりの個性を伸ばし、少子化の中にあってもたくましい子どもを育てていく必要があります。

 こうした視点から地域力を高めるため、

  1. 地域課題を自ら捉え、やる気と挑戦する人をつくる「地域を支える人材の育成」
  2. 地域に自信と誇りを持つ人を育てる「郷土愛を育む活動の推進」
  3. 心身のたくましい健やかな子どもをみんなで育てる「未来を担う子どもたちの教育環境づくり」

を進めます。

 次に、安定した暮らしができる産業をつくる「産業力の向上」についてでありますが、地域の持続的な発展のためには、自立した地域産業の確立が不可欠です。

 このためにはまず、既存産業の維持発展が重要であり、企業間の連携はもとより、産業間の垣根を越えた連携を図り、新たな製品開発や生産から販売までの連携を進めることが重要です。

 また、元気のある町にしていくためには、新しい動きが起きることが必要であり、小さな企業の創業などによる「小さな経済」を町内へ広め、元気で活力のある町をめざしていきます。

 さらに、人と人のつながりを大切にした「もてなしの交流」を進め、朝日町ならではの「交流・観光」を進めます。

 こうした視点から産業力を高めるため、

  1. 朝日町ブランドづくりを進める「地域特性を活かした農業の産地力の強化」
  2. 多様な連携による産業集積と創造的「ものづくり」を進める「町に活力を生み出す産業の創出」
  3. 地域資源や「食」の活用と情報発信力を強化する「地域の宝物を活用した交流・観光の推進」

を進めます。

 次に、安心と魅力のある定住環境をつくる「定住力の向上」についてでありますが、次世代を担う人材の流出に歯止めをかけるとともに、こうした世代の町外からの転入を促進することが重要であり、若い人たちが希望をもって暮らし、子育てができる環境をつくることを進めます。

 本格的高齢社会の中で、生涯安心して暮らせる社会をつくることが重要であり、生涯現役で生活できるような常日頃の健康維持の仕組みづくりや、町立病院を核とした医療体制の充実、さらに医療と介護の連携を進め、安心して暮らせる環境の整備を進めます。

 自然的、地理的条件によって生ずる生活上の安全性や利便性の確保については、災害非常時の防災体制や耐震補強、さらに雪対策に取り組むなど安全で快適な生活環境づくりをめざし社会基盤の整備を進めます。

 地球温暖化対策への取り組みは、我々一人ひとりの取り組みが重要となっています。わが町はエコミュージアムや空気神社など自然環境に対する意識の高い町として全国的に知られており、町民一人ひとりが責任をもって取り組むことが重要です。

 こうした視点から定住力を高めるため、

  1. 働いている親も安心して子育てのできるまちづくりを進める「みんなで支える子育て環境の整備」
  2. 生涯現役で活躍できる健康な人を増やす「健康で、生きがいをもって活動できる環境の整備」
  3. 地域ぐるみの支え合いと、生活を支える基盤をつくる「安全安心で、快適な環境の整備」

を進めます。

 この第5次総合発展計画が町づくりの基本となり、この実現に向け、予算編成にあたったところであります。

地方財政計画の状況

 次に、地方財政についてでありますが、情勢は依然として厳しいものがあります。

 国内経済は、全体では回復基調にはあるものの、依然として個人消費はやや弱く、公共工事においても減少傾向となっています。

 県内の景気の見通しについても、先行き不透明さが多くあり回復の兆しが見えにくい状況となっており、このような国内県内の景気の見通しの中で、地方財政計画が示されました。

 平成20年度の地方財政計画の歳入歳出規模は、83兆4千億円で前年度対比プラス0.3%、地方歳出は伸び率0であり、地方再生対策費を除いた額では、マイナス0.2%、一般歳出ではマイナス0.6%となります。

 こうした、国の景気の低迷により地方税収、そして地方交付税の原資となる国税収入が鈍化する中で、社会保障関連経費の自然増加や公債費が高い水準で推移することなど、依然として大幅な財源不足が見込まれています。

 このため、第1に「基本方針2007」に沿って歳出抑制基調を堅持しながら、地方歳出を見直す一方、喫緊の課題である都市と地方との格差への対応、あるいは地域の活性化としての地方再生対策費に、4千億円の特別枠が設定されたところであります。

 2番目は、地方交付税及び一般財源額の増額が図られたところであります。

 地方交付税総額は、前年度対比2千億円の増、臨時財政対策債に2千億円の増額ということで総額4千億円の増額確保が図られたところであります。

 この財源確保については、交付税特別会計による定時償還額を次年度以降に先送りした一時的な措置であります。

行財政改革の推進

 このように厳しい状況が続いておりますが、新しい町づくりを推進するためには、行財政改革を推進し、行財政基盤を強固なものにすることが必要不可欠であります。

 昨年の通常国会で、地方公共団体財政健全化法が成立施行され、財政指標の公表に関する規定が施行されたところでありますが、本町においては、その指標となる連結決算収支等による実質公債費比率は、18年度末で13.7%と健全度18%を大きく下回っており、改善傾向の基調にあります。

 本町においても、起債発行限度枠の設定をはじめ、利率の高い公債費の計画的な繰り上げ償還、交付税算入率の高い過疎債の充当などを積極的に行っており、将来の一般財源負担額の減少に努めています。

 また、行財政改革の一層の推進を図り、特に平成17年度から21年度の5ヶ年間を集中改革プランの期間と位置づけ、既に職員数においては全国類似団体の数値に達した状況となっております。

 今後も、退職者の補充の抑制や特別職の報酬や職員の手当等の削減、また町立病院の給食業務の民間への業務委託など、義務的経費を極力節減し、政策的経費への財源確保を講じているところであります。

平成20年度当初予算

 こうした中で第5次総合発展計画を力強くスタートするため、計画に掲げた3つの柱とその推進のための8つのプロジェクトに沿って予算を編成したところであります。

信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』

 第1の柱であります、「信頼とつながりにより地域の力をつくる『地域力の向上』」については2つのプロジェクトを掲げました。

 1つ目の「みんなが主役で愛する地域をつくるプロジェクト」については、次世代のリーダーの育成事業、協働のまちづくりプロジェクト「あさひ未来塾」の2年次目の取り組みであります。

 また、「郷土愛を育む活動の推進」の課題については、自分たちの地域は自分たちで築いていく、そうした地域の自発的な取り組みの視点に立った「朝日町協働のまちづくり指針」に基づいた、地域提案型交付金、そして総合雪対策制度の推進であります。

 また、少子高齢化の進展により、地区だけでは解決できない課題があることから、職員が地域の人と一緒になり汗を流し、地域づくりを支援強化するために、新規に町職員の地区担当制による派遣体制を創設します。

 また、各地域より要望の強い志藤六郎むらおこし基金を活用した、地域のシンボルづくり事業については、継続支援してまいります。

 一人一人が、町を好きになり誇りを持つために、朝日町読本の作成、最上川シンポジウムの開催、エコミュージアムの小径の作成をおこないます。

 2つ目の「みんなで育てる子ども成長プロジェクト」については、各小中学校における学力向上対策への支援対策、和合小学校の統合による母体校での学習の充実、英語指導助手による国際力の高揚などの継続事業であります。

 更には、学校、家庭、地域とのトライアングルパートナーシップの推進を強化発展させることであります。

安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』

 第2の柱であります、「安定した暮らしができる産業をつくる『産業力の向上』」については3つのプロジェクトを掲げました。

 1つ目の「こだわりのある農業をつくるプロジェクト」については、新たな取り組みとして、高品質りんご生産緊急対策としての奨励品種、新技術の導入促進支援策であります。

 りんご生産者と市場関係者との交流をはじめ、りんご銘柄産地確立対策としての台湾への輸出推進、消費宣伝などの取り組みであります。

 また、農業後継者の問題は極めて重要な課題であり、今回新たに若者、転入者等に対する農業の後継者の育成と、新規就農者への研究会を立ち上げ、一人でも多くの人が農業の担い手となり、朝日町りんごが町のブランド商品として、将来とも安定して生産が継続されるよう具体的な方策を進めてまいります。

 2つ目の「みんなが活躍するものづくりプロジェクト」については、地域資源を活かした産業創造への支援策として、平成のRINGOプロジェクトに代わり、新規に「(仮称)朝日町産業創造推進機構」を創設し、起業の促進、新産品の開発などによる地域ブランドづくりに取り組むとともに、交流を基本とした販路開拓に取り組みます。

 3つ目の「みんな温ったか交流・観光プロジェクト」については、今回の第5次朝日町総合発展計画の基本テーマともなる「交流」を基本とした「交流人口の拡大」を目指します。そのため、新規に観光振興推進員を配置し、観光協会を母体とした新たな事業推進を図り、地域資源や「食」の活用と情報の発信力を強め、もてなしの心を大切に持ち、そして町を訪れる交流を盛んにし、活気ある元気な朝日町を目指します。

安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』

 第3の柱であります「安心と、魅力ある定住環境をつくる『定住力の向上』」については3つのプロジェクトを掲げました。

 1つ目の、「みんなで支えあう子どもいっぱいプロジェクト」については、安心して子育てができる環境の整備として、平成22年4月開所を目指す子育て支援センターの機能を備えた子育て支援拠点施設整備事業へ取り組みます。20年度は、用地取得、敷地造成、施設の実施設計の経費で、21年度は建築事業にとりかかります。

 また、子育て家庭に係る経済的負担の軽減策として、第2子以降の保育料の5千円定額化、就学前児童への医療費完全無料化、高校生以下のインフルエンザ予防接種補助等を継続実施します。

 また、保護者より特に要望のある早朝、延長保育及び3歳未満児に対する多様な保育ニーズへの対応策を一層推進します。

 若者がこれからも住み続けてもらうために、中郷ハイツ、みなみハイツの低所得者等の入居者に対する家賃の軽減措置を図ります。

 2つ目の「みんな達者でにこにこ元気プロジェクト」については、老いても生涯健康な身体で現役で活躍できる人を増やすため、健康診断の受診者の増加を図るとともに、保健師による各地区への訪問指導体制の強化をはじめ、健康教室・相談指導業務の推進、さらには地域医療の中核をなす町立病院の健全な運営のための継続支援であります。

 3つ目の「安らぎと自然に優しいまちづくりプロジェクト」については、豊かな自然と調和した快適な生活基盤の整備として、19年度の10棟の町営住宅新築に引き続き、20年度も6棟の若者向け町営住宅の整備を進めます。

 また、宮宿商店街の活性化策としての交流広場、蔵を拠点とした若者が集う憩いの整備事業などに取り組みます。

 また、地域の安全安心体制整備として、学校の耐震診断の実施や地震等自然災害から地域を守るため、各地区での自主防災組織の立ち上げにより、有事の場合に供えた訓練をはじめ、防災対策の装備を図ってまいります。

 最後に、時代が大きな変革・転換に直面し、私たちを巡る社会が大きく変動する中、平成20年度が「第5次朝日町総合発展計画」のテイクオフ(離陸)の年となります。過去から伝えられてきたものをそのまま未来へつなぐだけではなく、今を生きる私たちの知恵を活かし、将来にわたり、自分たちがずっと住み続けたいまちづくりに、町民を挙げ取り組み、「いつの時代も自信と誇りを持ち 住みたい 住み続けたい魅力あるまちづくり」の礎を築いてまいります。

 以上、平成20年度の施政方針等について申し上げましたが、町民に分かりやすい行財政の運営と、情報の更なる公開に努め、町民から信頼される町政運営に努めてまいりますので、議員各位並びに町民の皆さんのご協力を賜りますようお願いいたします。

この記事に関するお問い合わせ先

総務課 財務係

〒990-1442
山形県西村山郡朝日町大字宮宿1115
電話番号:0237-67-2111
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更新日:2019年03月29日