令和3年度施政方針

令和3年3月定例会

  • はじめに
  • 令和3年度の町政運営の基本方針
  • 令和3年度当初予算
    • 技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち【産業経済】
    • ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち【教育文化】
    • いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち【健康福祉】
    • 豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち【生活環境】
    • 地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち【地域づくり】
    • 町民と行政が相互に信頼できるまち【まちの経営方針】
  • 最後に
  • 施政方針とは

 本日、朝日町議会3月定例会の開会にあたり、議員各位におかれましては、町政の発展に日頃からご尽力いただいておりますことに対し、感謝を申し上げます。ここに、令和3年度当初予算をはじめ、重要案件のご審議をお願いするに当たり、町政に取り組む所信の一端を申し述べ、議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

はじめに

はじめに、この一年を振り返りたいと存じます。

令和2年度につきましては、あらためて申し上げるまでもございませんが、新型コロナウイルス一色の1年でございました。

一昨年12月、中国で初めて感染者が確認されて以降、その影響は瞬く間に広がり、一気に世界中を呑み込みました。

国内におきましては、約1年前の2月27日、感染拡大の兆候を受け、全国の公立学校の一斉休校が発表されました。当時はまさに「青天の霹靂」であったことを記憶しておりますが、これ以降、商業施設の臨時休業、スポーツや音楽イベントの中止、延期等が相次いで決まり、3月下旬には政府が東京オリンピック延期を発表。翌4月には全国を対象にした緊急事態宣言が発令されました。

人の移動や消費が停止したことにより、国内経済は甚大な打撃を受け、4月から6月期のGDPは前期比で戦後最大の落ち込みを記録。7月以降については、国の地方創生臨時交付金を財源とした各種施策や消費喚起策の効果もあって、持ち直しの動きが見られたものの、秋以降再び感染が拡大し、都市圏では再び緊急事態宣言が出されるなど、予断を許さない状況にあります。

遠い中国に端を発した新型コロナウイルスでありますが、朝日町に暮らす私たちにとってこれが「対岸の火事」であったのはほんの束の間にすぎず、影響は驚くようなスピードで迫ってきました。イベントはもちろん、会議や酒席など、人が集まる行事すべてに対して厳しい視線が注がれるようになり、この一年間、町では4大まつりをはじめとした、外からお客様を迎えるイベントはほぼすべて中止となりました。

また、学校や地域の行事、職場の会合、さらには個人・家族単位の冠婚葬祭までもが自粛や規模を縮小せざるを得ない状況となり、飲食業や観光業はもちろん、製造業、農業にまで、影響はありとあらゆる方面に拡大し、町民生活の広い範囲に影を落としています。「人や物流の停滞による消費の落ち込み、経済的な打撃は、東日本大震災に匹敵するとの見方もある」――。これは、一年前のこの場で私が述べた言葉ですが、影響がここまで拡大することを誰が予想できたことでしょう。現実は想定をはるかに超えるものでした。

こうした状況を受け、町はこの1年間、国の交付金等を活用しながら事業者向けの支援策や個人向けの消費喚起策等を実施し、地域経済の下支えを行ってきましたが、それは一時的に痛みを和らげるものにすぎません。私たちの願いは、一刻も早く、人類がこの感染症を克服することであります。今般開発されたワクチンが、その名のとおり、未曾有の感染症の特効薬となり、この局面を打開してくれること切に望むところであります。

一方、新型コロナウイルス以外でも、この1年は災害に見舞われた年でありました。

7月には記録的な豪雨により、最上川が53年ぶりに大規模氾濫するなど、山形県全体がかつてないほどの被害に見舞われました。当町でも大規模に崩落した町道今平大船木線を含めて、町道や農道、林道、農地、水路等で甚大な被害が発生し、その被害総額は4億円以上に上っています。

また、12月以降は冬型の気圧配置が続き、断続的に大雪に見舞われました。3月1日現在の累計降雪量は679cm(宮宿観測地点)を記録し、過去5年平均と比較すると、約1.5倍の量となっています。雪下ろし中の事故や農業施設の倒壊、果樹の枝折れなど甚大な被害が各地で発生しているほか、商店や工場等の事業所においても、コロナ禍で売り上げが大幅に落ちている中、多額の除排雪費負担が発生していることから、除排雪費及び各種雪害対策費支援のため、先般、国や県に対し要望を行ったところであります。

コロナ、豪雨、豪雪と、まさに三重苦の1年でございましたが、私は、先の町長選挙におきまして、議員諸侯はじめ町民の皆様、関係各位の力強いご支援と心あたたまるご厚情を賜り、再び町長としての重責を担わせていただくことになりました。

これまでにない苦境の中での5期目の船出となりましたが、どんな厳しい状況下にあっても、まちづくりの活力を維持し、町民の幸せを創造していくことが、町を預かる私の責務であると認識しております。「人口規模は小さくても、自分の夢や希望に向かって、また、元気なまちをつくるために、積極的に行動する人、つまり『希望活動人口』の密度を高めていくことで、まちを元気にしたい」――。第6次朝日町総合発展計画の軸に据えたこの考え方に変わりはなく、私の信条である「やる気・挑戦」、つまり、チャレンジを続けることで、この苦難を乗り越えていく覚悟でございます。

新型コロナウイルスの世界的拡大という未曾有の事態に直面し、昨年は「自粛」「中止」といった言葉ばかりが並ぶ毎日でしたが、私たちは同じ一年を繰り返すわけにはいきません。「コロナ禍だからできない」ではなく、「コロナ禍を機に見直す、改める、打ち出す」こと――。すなわち、「できない理由を探すのではなく、できる方法を考える」こと――。コロナ禍2年目の今、こうした考え方が重要と考えます。

コロナ禍が長期化する今、私たちが進むべきは「新たな日常」を前提とした、暮らし、施策の創造であります。こうした「ピンチをチャンスに変えるチャレンジ」が第6次朝日町総合発展計画の具現化につながっていくと私は確信しております。今、私たちの前に見えるのは「壁」ではなく、新たな未来への「扉」――。こう思うものであります。

ふじの無袋栽培、風土に根差したワインづくり、空気神社の建立など、このチャレンジ精神こそ朝日町民DNA、つまり受け継がれる心意気であり、まちの未来を築く町民の宝であります。こうした様々なチャレンジを振り返り、その良さを学び自らのものとすること、いわゆる、「チャレンジの輪のつながり」が、また新たなチャレンジの芽を育み、町の魅力アップや地域課題の解決につながるものであります。

未曾有の感染症が広がり、社会情勢がめまぐるしく変化する状況のなかではございますが、令和3年度につきましても、やる気と挑戦の気持ちをもって町政のかじ取りを担わせていただき、この試練を乗りこえていく所存でございます。

令和3年度の町政運営の基本方針

平成29年度策定した第6次朝日町総合発展計画では、目指す将来像に「チャレンジ・つながり・希望 ~町民が活躍し笑顔あふれるまち~」を掲げ、特に重視すべき柱として、次の5本の基本目標とそれを実現させるための「まちの経営方針」を定めました。

1.技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち【産業経済】

  1. 農業
  2. 仕事の確保(商工業)
  3. 交流・観光

2.ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち【教育文化】

  1. 子育て
  2. 学校教育
  3. 生涯学習【スポーツ・文化】

3.いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち【健康福祉】

  1. 健康増進
  2. 医療・福祉

4.豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち【生活環境】

  1. 住まい
  2. 交通
  3. 環境
  4. 防災

5.地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち【地域づくり】

  1. 地区づくり活動
  2. まちのにぎわい・元気づくり

町民と行政が相互に信頼できるまち【まちの経営方針】

  1. 町民と行政の協働
  2. 行財政経営

令和3年度につきましては、「第6次朝日町総合発展計画の4年目として、コロナ禍においても『チャレンジ・つながり・希望』を基本理念とし、町民との協働により困難な状況に立ち向かい、誰もが将来に希望を抱き、その実現に向けてチャレンジできるまちをつくる」ことを基本方針とし、町政運営に取り組んでまいります。

令和3年度当初予算

令和3年度当初予算につきましては、実施計画の基本方針に基づき、「第6次朝日町総合発展計画」及び「第2期朝日町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を着実に推進するべく、編成したところであります。

大きな方向性につきましては、先般の予算内示でご説明させていただいた通り、観光施設のあり方をはじめとした重要課題整理の年度と位置づけ、普通建設事業費および町債発行額の大幅抑制に努めております。

一方では、「ウィズコロナ・ポストコロナのまちづくり」というテーマの下、ワクチン接種をはじめとした感染症予防対策、コロナ禍により打撃を受けた商工業者への支援といった「守り」の施策はもちろん、コロナ禍を契機にした移住・定住の新たな促進策や、行政・教育環境のデジタル化といった「攻め」の施策も打ち出しています。

そのほか、防災・減災対策は引き続き重要テーマで取り組むほか、旧佐野邸を活用した高齢者の居場所づくり、消防団員の待遇改善、旧大平橋の解体、コミュニティスクールの推進等、個別の重要課題・テーマについても、予算に反映させております。

以上の基本的な考えに基づき、第6次朝日町総合発展計画の5つの基本目標と、まちの経営方針に沿って実施するプロジェクトにつきまして、詳細をご説明いたします。

技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち【産業経済】

第1の目標であります、「技・モノ・心が引き継がれ、人が集まるまち」、産業経済分野につきまして、3つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は農業分野であります。

町の最大の強みであるりんごの品質確保対策として、わい化促進事業を継続して実施し、ブランド確立の取り組みを引き続き進めてまいります。また、誕生50周年を迎える無袋ふじの記念事業を実施し、先人たちの偉業を称えるとともに、りんご産業のさらなる発展の契機といたします。担い手確保の取組みとしましては、仮設トイレの設置等に対する補助として「農業労働力環境整備事業」を設け、女性や新規就農者の就農環境を整えるほか、電動アシスト付剪定ハサミ整備支援事業や認定農業者農機具等支援事業を継続し、省力化、スマート農業を支援いたします。

りんご以外の農作物につきましても、「チャレンジファーマー応援事業」や「欧州系ワイン用ぶどう栽培支援事業」「ブランド米生産促進補助」などを通じ、米や果物、園芸作物など多様な農業にチャレンジできる環境を整備します。

農業生産基盤を維持するための取組みとしては、農道や用水路の整備等に対する補助を継続するほか、耕地災害等の防止に努めます。近年被害が顕在化している有害鳥獣対策については、国、県の補助事業を有効活用しながら取り組みを継続いたします。

なお、昨年7月の豪雨で被災した農地や水路の復旧に関しては、すべて令和2年度の事業とし、繰越予算で対応いたします。

2つ目は仕事の確保、商工業分野であります。

昨年来のコロナ禍により、町内におきましても、事業所や商店が厳しい経営を強いられています。令和3年度当初予算に計上した経営支援策といたしましては、緊急的に融資を受けられた事業者の利子相当分を負担する「中小企業緊急災害等対策利子補給事業」や事業所の感染症対策費に対して補助する「感染症対策支援事業」などがございますが、令和2年度の繰越事業、さらには、国の第3次地方創生臨時交付金に合わせて今後の補正予算で計上する事業等を組み合わせながら、町内経済を守るため、全力を挙げて取り組んでまいります。

コロナ禍を契機とした新たな商工業振興策としましては、昨今、テレワークが増えている状況を受け、「お試しワーケーション事業」を創設するほか、商工会が実施する「持続化補助金事業」に町単独で加算する制度を設け、空き店舗を活用した創業や店舗の魅力アップにつながる改修等を支援します。

3つ目は交流・観光分野であります。

コロナ禍により、人の移動が大幅に制限され、観光業そのものが窮地に立たされている昨今でございます。こうした現状を勘案し、ソフト事業については既存事業の継続がほとんどでありますが、4大まつりに関しては、開催方法の見直しを含め、感染症対策を強化した上で、必ず実施したいと考えております。

ハード事業につきましては、冒頭でも申し上げた通り、町は今、観光施設の在り方について、議会の皆さまと一体となって検討を進めているところであります。これは今後のまちづくり、財政運営等を大きく左右する重要な判断であり、町は今まさに、岐路に立っております。ハード部分の整備、特にAsahi自然観、りんご温泉につきましては老朽化が著しい部分が目立ってきておりますが、令和3年度につきましては大規模改修を見送ることとし、必要最小限にとどめたところであります。

ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち【教育文化】

第2の目標であります、「ふるさとを愛し、みんなが学び合い、育て合うまち」、教育文化分野につきまして、3つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は子育て分野であります。

妊娠・出産期から子育て期までの健康を確保し、不安や負担を軽減する取り組みとして、妊産婦の健診教室、相談会等を継続してまいります。特定不妊治療費に対する助成につきましては、令和3年度から助成の対象となる治療を拡大し、子どもを希望する夫婦の負担軽減を図ります。また、子育て医療費の無料化につきましては、令和元年度から対象となる年齢層を高校生までに引き上げており、継続して子育て世代のさらなる負担軽減を図ってまいります。

数年前から取り組んできた緑が丘公園の改修事業につきましては、令和2年度で、広場整備が完了したことから、来年度は園路整備を行います。広場につきましては、芝が根付くまでのしばらくの間、利用を制限させていただきますが、子育て世代にとって一層魅力的な遊び場になるよう努めてまいります。

2つ目は学校教育分野であります。

家庭・地域・学校が協働し、きらりと光る学校・地域を作る取り組みとしましては、令和3年度から地域活動支援員を1名増員して2名体制とし、コミュニティスクール事業および探求型学習の深化を図ります。また、10周年を迎える「あさひ教育の日」推進事業につきましては、著名人による記念講演会などを通じて、10年間の取組みを振り返るとともに大きな節目といたします。

社会の変化に対応し、未来を拓く確かな力を持つ子どもを育てる取り組みとしましては、今年度整備したタブレット機器等を活用し、デジタル教育を推進してまいります。あわせて、教員向けの研修も充実させ、教える側のスキルアップも図ってまいります。また、中学生の高校受験対策につきましては、「あさひ英語学習会」「あさひ数学学習会」を引き続き実施し、志望校合格に向けた支援を充実させます。

施設整備につきましては、西五百川小学校屋内運動場の天井改修、朝日中水道管のサビ対策工事等を実施し、安全安心な教育環境による学習意欲、そして学力の向上を図ってまいります。

3つ目は生涯学習、スポーツ・文化分野であります。

潤いのある生活を楽しむ生涯学習を推進する事業の施設整備としまして、引き続き創遊館大規模改修を実施します。令和3年度につきましては、令和4年度に実施予定の建物改修、詳しく言えば、雨漏り等の対策工事に向けた実施設計を行い、施設の長寿命化に努めてまいります。秋葉山交遊館の遊具につきましては、現在2カ所ある遊具を1カ所に集約して更新し、機能向上を図ります。西部公民館、体育施設、各自治公民館等につきましても、それぞれの年次計画に基づいた修繕や自治公民館整備事業補助金を通じて、学びや生きがいづくりを支援いたします。

ミズノ株式会社とのまちづくり提携事業につきましては、当初の計画期間である5年が終了しましたが、今般さらに5年間の提携を結ぶべく、3月下旬に協定書を取交す予定でございます。町民の健康を維持するには何が必要か、この5年間で様々な事業を展開しながら模索してまいりましたが、誰でもどこでもいつでも気軽にできる「歩くこと」の継続が最適な手段であるとの結論に達しましたので、今後「歩くこと」による町民の健康推進にむけた取り組みを強力に進めてまいります。

いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち【健康福祉】

第3の目標であります、「いつまでも健康に暮らせる、思いやりあふれるまち」、健康福祉分野につきまして、2つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は健康増進分野であります。

この分野におきましては、申し上げるまでもなく新型コロナウイルスのワクチン接種を最優先事項として取り組みます。接種時期については未定ですが、集団接種を想定し町内の医療機関、医師の先生方と連携して進めていく予定であります。なお、対策室の設置や諸準備費用に関しましては、令和2年度の繰越事業で進めていく予定であります。

また、温泉による健康づくり応援事業を継続し、身近な施設を通じた町民の健康づくりとともに、町内入浴施設の経営を支援します。

2つ目は医療・福祉分野であります。

地域医療の拠点である町立病院につきましては、新型コロナウイルス感染症診療・検査医療機関として、疑い患者の受け入れを実施し、かつ院内感染を防ぐために収束まで徹底した対策を講じます。なお、新型コロナウイルス関連の動きは日々目まぐるしく変わっており、必要な資材や医療機器につきましては、適宜迅速に整備していきます。

高齢者の居場所づくり、生きがいづくりに関しましては、間もなく改修工事を終える「地域福祉交流施設」、旧佐野邸を活用し、新たな事業展開を考えております。施設は4月中のオープンを予定し、公募によって選定された事業者の下、きめ細かなメニューやサービスを提供していく予定です。

また、障がいを持つ子どもの通学支援につきましては、令和3年度から小学生に限り、特別支援学校への通学タクシーに添乗員を同乗させ、子どもたちや保護者のさらなる安心・安全の向上に努めます。

豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち【生活環境】

第4の目標であります、「豊かな自然を守り、安全で快適な住みよいまち」、生活環境分野につきまして、4つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は住まい分野であります。

住みやすく多様な住環境の整備といたしましては、持家住宅建設補助、木材製品利用住宅建設補助を継続して実施してまいります。

年々深刻化する空家対策につきましては、空き家バンク制度や改修補助金等で引き続き利用を促進するほか、空家解体補助を通じ、空家を生まない仕組み作りに努めてまいります。空家バンクの運営は、外部からの移住相談窓口も含めた業務として令和元年度から民間委託しておりますが、引き続き適正管理と利活用に努めてまいります。

2つ目は交通分野であります。

町民の足確保対策では、デマンドタクシーの運行をはじめ、75歳以上の方の負担軽減として、デマンドタクシー料金の半額化、山交バス運賃の補助を継続して実施してまいります。高校生の通学支援といたしましては、山形市直行バスの運行をはじめ、定期券補助の充実を通じて、利便性の向上に取組んでまいりますが、令和3年度につきましては直行バス車両の更新費用を計上しております。

町道整備につきましては、一本松線、赤釜線、今平線の改良、西町西原線の歩道設置等、年次計画に沿って実施いたします。また、昨年の豪雨災害で崩落した今平大船木線の復旧に取り組むほか、老朽化が進んでいた旧大平橋につきましては、事業費を白鷹町と折半し令和3年度に解体を行います。

3つ目は環境分野であります。

アフターコロナの経済再生の目玉として、国は「デジタル」と「グリーン」を掲げており、そのうちの「グリーン」、すなわち、環境政策については、地球温暖化に対する世界規模の取組みや、近年多発する大規模災害を受け、これまでにない動きが今後出てくる可能性があります。

当町におきましては昨年10月の「ゼロカーボンシティ宣言」に基づき、地球温暖化対策実行計画の策定や環境負荷の低い公用車、議場空調機器の更新を行います。また、町環境事業のシンボルとして位置付けている空気神社につきましては、建立から30年が経過しておりますが、今般のコロナ禍を受けて、「空気」に対する注目度が高まっていることもあり、帰属等の考え方をあらためて整理し、さらなる活用につなげていきます。

4つ目は防災分野であります。

安心して暮らせる地域の防災体制を構築する取り組みにつきましては、消防団員の確保、待遇改善策の一環として、令和3年度からの各部へ運営支援金を支給いたします。また全消防団員に雨具を支給するなど、装備品をより充実させるほか、年次計画に基づき、宇津野地内に耐震性貯水槽を整備します。

災害へ備えるための基盤整備としましては、老朽化する消防指令車車庫の更新に向け実施設計を行います。この車庫には役場消防部の車両、そして、現在1-1車庫に格納している資機材車も入り、「防災車両基地」として機能を集約いたします。場所は公所会館跡地で、「第2備蓄倉庫」として、コロナ対策関係の物品が増え、手狭になっている既存防災備蓄倉庫の機能を拡充する予定です。

地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち【地域づくり】

第5の目標であります、「地域を思う一人ひとりがつながり、みんなで支え合うまち」、地域づくり分野につきまして、2つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は地域づくり分野であります。

6総のキーワードの一つでもある「つながり」は、地域や人々の支え合い活動を想定しています。令和3年度も、地域活躍応援事業や草対策事業、さらには集落支援員の配置により、元気な地域づくりを継続して支援してまいります。近年広がりを見せている区の枠組みを超えた地域づくり活動につきましても支援してまいります。

地域行事等については、この一年間、コロナ禍で人と人との接触が大幅に制限され、つながりの希薄化が懸念されるところであります。朝日町の良さである助け合いの風土を守るためにも、地域行事まで一律に制限するのではなく、開催・実施を促す仕組みを構築してまいりたいと存じます。

2つ目はまちのにぎわい・元気づくりに関する施策でございます。

「つながり」が意味するもう一つの言葉は、町外との交わり、すなわち「交流」であります。交流人口、関係人口、定住人口を増やすための新たな仕組みとして、令和3年度は、若者移住・定住支援事業を創設し、30歳未満学卒者のU・Iターン、地元定着を促進します。

このほか、朝日町暮らし体験補助として、体験の際の交通費・宿泊費を新たに支援し、空き家片づけ補助は補助額を3万円から10万円に拡充いたします。これらの新たな施策に関する情報発信や移住者を希望する人のコーディネートは、新たに委嘱する「つながり創出推進員」が担い、アフターコロナを見据えた移住促進策を多方面から展開してまいります。

町民と行政が相互に信頼できるまち【まちの経営方針】

これら5つの基本目標を実現させるための「まちの経営方針」につきましては、「町民と行政が相互に信頼できるまち」として、3つのプロジェクトを申し上げます。

1つ目は住民と行政の協働であります。

町民が主役となり、温かみのある行政運営を行うための取り組みとして、町民に親しまれる役場づくりプロジェクトを継続し、職員の能力や接遇スキルの向上に努めます。

2つ目は効率的な行財政経営に関する施策であります。

町民満足度を重視した行政サービスを行うためには、安定した行財政基盤が欠かせません。今後も最小の経費で最大の効果を上げることを心がけ、持続可能な財政運営に努めてまいります。

財政運営につきましては、近年の道の駅やロッジしらくら等の整備に加え、創遊館の大規模改修や学校エアコンの整備等大型事業が相次いでおり、町債残高や公債費が伸びています。令和3年度におきましては、例年以上に道路・施設整備事業を精査するとともに、基金の積極的な活用により町債発行額を大幅に抑制しています。

3つ目は高度情報化・広聴であります。

今般のコロナ禍で人と人との接触が制限されたことにより、社会の仕組みが大きく変わろうとしています。特に行政分野においては他国と比較して効率化やデジタル化が立ち遅れていることが指摘されており、先ほども申し上げましたが、国はアフターコロナの経済再生の目玉に「デジタル」を掲げています。これに関しましては、この9月に予定されている「デジタル庁」創設に代表されるように、今後驚くような社会変容が起こる可能性があります。

令和3年度の当町におきましては、コロナ禍で浸透したWEB会議の環境充実のため物品や設備を整備します。また、新たに町税のキャッシュレス収納も導入し、非対面の納税による感染症予防と、納税しやすい環境のさらなる向上を図ります。

最後に

「チャレンジ・つながり・希望 ~町民が活躍し笑顔あふれるまち~」。コロナ禍で先行きが見えない状況ではございますが、町民が主体となってチャレンジの輪がつながり、希望が溢れる暮らしを送ることができるまちづくりの実現のため、令和3年度におきましても、全力で取り組んでまいります。

以上、令和3年度の施政方針につきまして、申し上げました。

議員各位並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

 

施政方針とは

 町長が、町議会でその年の運営方針や政策について所信を示す演説です。

 本文は施政方針の原稿であり、朝日町議会令和3年3月定例会当日(令和3年3月4日)の筆記録ではありません。実際の演説とは相違点があることを申し添えます。

この記事に関するお問い合わせ先

総務課 財務係

〒990-1442
山形県西村山郡朝日町大字宮宿1115
電話番号:0237-67-2111
ファックス番号:0237-67-2117
お問い合わせはこちら

このページに対するご意見をお聞かせください。
この情報をすぐに見つけることができましたか?
お求めの情報が十分掲載されていましたか?
ページの構成や内容、表現はわかりやすいものでしたか?

朝日町役場へのお問い合わせは、各ページの「この記事に関するお問い合わせ先」へお願いします。

更新日:2021年03月09日