1月28日 潜入!日本酒の仕込み作業

 皆さんは宮宿大町地区にある町内唯一の酒蔵「鈴木酒造」をご存知でしょうか。

 創業は江戸時代の元禄年間(1688~1703)で、屋号は「以津美屋」。通称は「マルシメ」で、県内で最も規模の小さい酒蔵と言われています。

 「よく酒屋さんが新人さんを連れて見学にいらっしゃるんです。小さい蔵だからお酒の作り方や工程がわかりやすいですって…」と笑みを浮かべるのは、社長で17代目の蔵元を務める鈴木和香子さん。「日本酒の海外輸出が進む最近は、外国人の訪問も増えました。2月もドイツ、フランス、そしてスウェーデンからお客様がおいでになるんですよ」と続けます。

 日本酒の仕込みは、雑菌の少ない寒の時期に行うのが最適とされ、鈴木酒造でもこの1月から2月上旬に行われています。作業を担うのは、米やりんごの収穫を終えた町の男たちで、朝日の山々が白くなる頃、毎年数人が蔵に集います。最小限の設備の中、長年の経験と五感を駆使し、昔ながらの酒造りを行っているのです。

 現在、新酒の仕込み作業のピークを迎えている鈴木酒造に、町広報のカメラが潜入。平成23年1月28日、工程の一部を見せていただきました。

 鈴木酒造は、昭和47年に共同ビン詰めによる合理化と品質向上のため株式会社設楽酒造店(西川町)、株式会社八幡屋酒造店とともに、月山酒造株式会社(寒河江市)を設立。鈴木酒造のお酒は「月山酒造」の名前で出荷されていて、代表銘柄には「銀嶺月山」や「豊龍」などがあります。

雪に覆われた鈴木酒造の酒蔵の外観の写真

豪雪の中でも、存在感あふれるたたずまいを見せる鈴木酒造の酒蔵です

鈴木酒造の酒蔵の玄関の写真

取材に伺うと、まず玄関で「杉玉」が出迎えてくれました。

これは酒蔵がお客様に対し「新酒ができましたよ!」と合図するもので、鈴木酒造では町民の方の手作りのものを使っているそうです。

鈴木酒造の社長と豊龍の写真

鈴木酒造の社長で、月山酒造の役員を務める鈴木和香子さん

この酒蔵の看板商品である「豊龍」を紹介していただきました

(注意)「豊龍」は実際には鈴木酒造で造られているお酒ですが、酒税法上、容器に栓をした事業者が製造者となることから、「月山酒造」の名称で販売されているそうです

鈴木酒造で働く5人の蔵人の写真

酒蔵で働く5人の蔵人

皆さん春から秋にかけては農業を営んでいて、12月下旬から2月にかけての冬場だけこちらで働いています

今年は、この道30年以上のベテランである安達正志さん(写真中央/栄町)が杜氏(とうじ/酒造り職人の長)を務めています

米を蒸している釜の写真

ここから、実際に日本酒づくりの工程を見せていただきました

まず最初に見せていただいたのが、お酒の原料となる米を蒸している釜

ちょうど蒸し上がる直前で、周囲が真っ白になるほどの蒸気を上げていました

蒸し上がった米を分ける様子の写真

蒸し上がった米は、麹米用と仕込み用に分けられますが、この日は両方に利用されていました

このうち、麹米用は…

米を容器に移す様子の写真

専用の容器に移され…

米を移動させる様子の写真

素早く別の場所に移動

米を広げる様子の写真

そこでは、運ばれた米がほぐして広げられ、適温まで冷まされていました

ちなみに米の温度は杜氏が自らの手の感覚により判断しているそうです

麹菌を加える杜氏の写真

その後、杜氏の手により麹菌が加えられ、菌を繁殖させるため麹室へと運ばれて行きました

蒸し釜から麹室へ運ばれるまでの時間はおよそ10分~15程度でしょうか

仕込みの様子の写真1

一方、麹米の準備が終わると、今度は仕込み作業が始まりました

先ほどの蒸し釜から今度はすぐ隣に設置されたベルトコンベアに米が移され…

仕込みの様子の写真2

棒のついたローラーにより、ここでも米が平らにされ、一定の温度に整えます

もちろん杜氏は目を光らせながら…

米の温度を確認する様子の写真

自らの手で温度を確認します

中央が安達さんです

仕込みの様子の写真3

コンベアの末端では、別の職人さんが米をほぐし…

太いパイプに風を送る様子の写真

その後、直径20センチメートルほどもあろうかという太いパイプに風を送りながら…

仕込み蔵の写真

仕込み蔵にある…

仕込み用のタンクの写真

仕込み用のタンクに風を利用して米を送ります

タンクの中身の写真

タンクの中身はこんな感じです

タンクにあるプレートの写真

ちなみに、タンクにあるプレートを見るとこんな表記がありました

一石=10斗=100升ですので、2,680升、つまりこのタンクの容量は一升瓶2,680本分ということになります

一升は約1.8リットルですので、約4,800リットルとなります

米の状態を確認する杜氏の写真

これで午前中の作業がほぼ終了

米を蒸し上げる釜のところに戻ると、杜氏の安達さんが次の日の作業に向け、蒸し上げる米の状態を確認していました

この作業が毎日繰り返し行われ、新酒が仕込まれていくそうです…

杉玉の写真

「約1ヵ月間にわたって行われた仕込み作業も間もなく終了です」

取材を終えた帰り際、玄関の「杉玉」がそれを語りかけているようでした

 なお、平成23年2月6日(日曜日)には町エコミュージアム協会が主催する酒蔵見学会「おらほの地酒! 豊龍蔵を訪ねる」が行われます。

 また、平成23年3月11日(金曜日)には、この酒蔵の新酒を山形舞子と楽しむ「朝日の地酒まつり」がAsahi自然観で行われます。

 この機会にぜひ地元の酒蔵の魅力を味わってみてはいかがでしょうか。

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更新日:2019年03月29日