2009年2月_生きている実感

時の流れの速さに、驚くばかりの毎日です。昔、「十年一日の如し」と言われていた言葉も、今や瞬時瞬時に変化を遂げ、人間が追い付くよりも先に時代が進んでいく、そんな気がしてなりません。都市も田舎も日本も世界も瞬時に情報が行き交い、田舎だから「のんびりと」とか、都会だから「せわしない」だのと、そんな地理的原因によって、時代の速度を使い分けできる時代ではとうに無くなって来ている現実に、否応なしに私たちは覆われているのです。

黒人初のアメリカ大統領が誕生し、我が県初の女性県知事が就任する。

サブプライムローン問題に端を発した、全世界を覆い尽くした金融経済恐慌。よその話ではなく、我が身に直接降りかかる、生きることにさえ影響を及ぼしかねない重大な問題が、瞬時に世界を駆け巡ります。

希望と怖れ。光と闇と。相反する二つのものが同時に世界に存在する中、植物が太陽に向かって葉を広げるように、私たちもまた光に向かって手を広げ、希望に向かって進んで行かなければなりません。

先日、あるテレビ番組を見ていたところ、懸命にリハビリに励む人々の様子が画面に映し出されて来ました。そして彼らは言っていました。「できないことで悩むより、できることを進んでやろう」と。

山頂を目指す登山者も、初めの一歩、次の一歩と、最後まであきらめず、一歩一歩確実に努力を惜しまず歩を進め、いつか山頂にたどり着くのです。

世界がどんなに変化しようとも、どんな時代になろうとも、怖れることはないのです。私たちは今私たちにできる最善の策を考え実行し、どんなことがあってもあきらめず、努力を惜しまず進んでいく。そして、光と希望に向かって進んでいく。それが私たちの「生きている実感」となり、そのために私たちは生れて来たのです。

広報あさひまち 2009年2月号より