2009年6月_小さな音、小さな声

あらためて実感 小さな声に耳を傾けることのたいせつさ

早朝の澄んだ空気を吸い込みながら、近くの公園まで散歩に出かける。小鳥のさえずる声。木々のざわめき。日中では気づくことのない、朝の出会いと小さなあいさつが、そこにはあります。

6月7日、空気まつりの3日目。空気神社の境内において、五穀豊穣祈願祭が厳かに執り行われました。清らかに立ち並ぶ、ブナの葉重なる緑のカーテン。そこかしこから、ジーン、ジーンという蝦夷春蝉(えぞはるぜみ)の鳴き声が、澄んだ空気に溶け込むようにあたりをつつむ。ただ祝詞奏上(のりとそうじょう)を唱える声だけが朗々と、しばし静寂の中、林の間に響き渡っていきました。

蝦夷春蝉は春5月末から、梅雨の頃に鳴く小さな蝉で、ブナ林に住んでいます。調べてみると、その鳴き声はギョーケイ、ギョーケイ、ケケケケケ、またはミョーン、ミョーン、ケケケケケ、というふうに独特な、そしてまた不思議なうたのように聞こえるとありました。私にはブナ林に溶け込む、緑の精の息づかいのように聞こえてきました。

あわただしく過ぎていく日常の生活の中で、日々の騒音に掻き消され、気づくことのない、忘れ去られる小さな音、小さな声。それこそが、私たちの生活を形づくっている、確かな生活の基盤であることを、私たちは忘れてはなりません。蝦夷春蝉の声に、そして早朝の小鳥のさえずりに、あらためて気づかされたような気がします。

広報あさひまち 2009年6月号より

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更新日:2019年03月29日