2009年7月_今、私たちに求められるもの

先入観、偏見にとらわれず、冷静な視点、心の持ちようをいかに保っていくかが重要

何が真実で、何が真実ではないか。何が正しく、何が正しくはないのか。

正邪、表裏が一体となった世界。混沌とすべての事柄が「ないまぜ」にされ、区別がつかず、正しい判断の基準さえも不透明で、曖昧。自らの意思を見つめ直すこともなかなか難しい。そんな状態にあるのが、今の日本の社会状況のような気がします。

もう、何十年も昔、私が学生時代のことです。ある時数学の先生に一人の生徒が、こんな質問をしました。「先生、数学がもっと分かるようになるには、どうしたらいいですか」。すると先生は、「本を読みなさい。もっともっと本を読みなさい。本はなんでもいいが、私は特に小説など文学作品をどんどん読むことを勧める」と言われました。大方の予想とはちがった先生の答えに、教室にいた生徒の誰もが狐につままれた思いで、ただポカンと先生の顔を見ていた情景を、今でも思い出します。

国語の先生が本を読みなさいというのなら、たいがいの生徒は「ああ、そうだろうな」と納得しただろうと思います。私たちは多分無意識の内に、数学の先生だから、「もっと計算ドリルをやりなさい」とか「図形の練習問題をやりなさい」と言う答えが来るものと、先入観で思い込んでいたのかも知れません。そこに全然予期しなかった「本を読みなさい。小説、文学作品を読みなさい」と言う答え。何十年たった今でも、この言葉は忘れることはできません。

物事がどのような状況にあるのか、正確に把握、判断することが非常に難しい混沌とした社会状況であります。そんな時代だからこそ、先入観、偏見にとらわれず、冷静な視点、心の持ち様をいかに保っていくかが、非常に重要なことではないかと感じているところです。

広報あさひまち 2009年7月号より

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更新日:2019年03月29日