2012年3月_「ふるさと」 それは私たちの心の支え・心の原点

「島に帰って来れてよかったね。何もなくても、わが家に居れば落ち着くね」九十一歳のおばあちゃん。

東日本大震災。あれから一年。長い避難生活の間に脳梗塞になり、手足が不自由になったという。皺に刻まれた人生の苦労。しかし穏やかな表情。想像だにしなかったであろう大震災。震災前までは漁の手伝いもやっていたという。フォークを握りしめ静かに、ゆっくりと食事を口に運ぶ様子には、何の不満も感じられませんでした。すべてを受け入れ、静かに佇むようすは、長い年月苦楽を共にした穏やかなふるさとの海そのもののように私には感じられました。

ふるさとは人々を包み込み、長年住み慣れた温かいわが家は、いつも自分の人生に寄り添ってくれていた。何も言わない。何も語りかけてはくれない。しかしいつも黙って私たちを見守っていてくれる。それが私たちのふるさと。ふるさとは裏切らない。ふるさとは優しく迎えてくれる。どんな傷ついた心を持っても、ふるさとは優しく癒してくれる。

ふるさとがある。懐かしいわが家がある。そう信じ、ふと見上げた視線の先。そこは変わり果てた現実の風景。幻想であって欲しい。その思いとは裏腹に、おぼろげな現実が目の前に広がって来る。そのような厳しい現実の中においてなお人間は、すべてを受け入れ、静かに佇むことができるでしょうか。

私は思います。様々な人生の中にあって、これだけは言えるのではないでしょうか。どんな状況にあろうとも「ふるさと」は、いつも私たちの心の中に、きっと存在するものである。そしてそれが新たなる出発の力となり、未来への船出となることを、私たちは知っているのです。

広報あさひまち 2012年3月号より

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更新日:2019年03月29日