2013年8月_[津波てんでんこ 命てんでんこ]歴史を乗り越えて来た 人間と自然との壮絶な戦い

歴史を乗り越えて来た 人間と自然との壮絶な戦い

「津波てんでんこ。命てんでんこ」岩手県宮古市田老地区に伝えられた言葉です。てんでばらばらに逃げろと言う意味だそうです。しかしその真意は、私たちの想像を遥かに超えた、深い深い悲しみの歴史の上に築かれた言葉でありました。そのことを、先日、防災システム研究所所長である山村武彦先生の講演をお聞きし、知ることができました。

宮古市田老地区はこれまでも歴史の中で、何度も何度も津波に襲われてきた地域でした。その度に一家全滅、家系が途絶えてしまう、そんな家族が何軒もあったということです。てんでばらばらに逃げろ。自分の命は自分で守れ。たとえ家族を気づかう気持ちがあったとしても、自分の命を守り通すことを第一に考え行動せよ。なんとも胸の張り裂ける心痛い思いで一杯になります。しかしこれが現実なのです。一人でもいいから生き残れ。悲痛な叫びが心の中で木霊します。

2011年3月11日発生した東日本大震災でも、壊滅的な被害に襲われました。同年3月31日付け読売新聞朝刊に写し出された一枚の写真。父母妹を津波に奪われ、それでも母を思い待ち続け「ままへ いきているといいね おげんきですか」とノート一杯に思いを記し、疲れ果て小さな腕を枕に、寝入ってしまった少女の寝顔。私の記憶から消し去ることのできない一枚の写真となりました。まさしく、この幼い少女の住まう地域が、宮古市田老地区でありました。

そうやって歴史を乗り越えて来た、人間と自然との壮絶な戦いの中に、今があるという現実。この事を直視しながら、地域防災にあたっていかなければならないと、強く実感したところでありました。

広報あさひまち 2013年8月号より

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更新日:2019年03月29日