町長歳時記 2019年5月_夢ある者の生き方

目に映るモノが、全て真実である。写実的な視点からすれば、まさにそのとおりかもしれません。しかし物事の表面に湧き出た実態を、より奥深く追究することにより、目に見えるモノの奥底に潜む真実を、さらに深い視点から会得することができると思います。

表面に現れた一つの結果は、もしかしたら幾重にも重なった原因の積み重ねの上に現れてきたものかも知れません。海水面に現れた氷山の一角は、海中に堆積されたその何倍もの巨大な氷の、ほんの一片にしか過ぎないことは、昔から言われていることです。

良い行い、悪い行いにしても同様のことが言えます。一つの良い行いを生む土壌の中には、その何倍もの努力と忍耐と良心が積み重なって初めて世の中に現れてきます。また、悪い行いの陰にも、その何倍もの不安や怠惰や誘惑があるものと思われます。

一つの事柄としての賞賛や非難は当然被るものとして、私たちが真にやらなければならないことは、事の本質の改革改善であります。良いことは繰り返され、悪いことは二度と繰り返さぬよう努めることは何より大事なことです。

複雑な心の持ち主である人間が、真っ当な生き方を目指すのは並大抵のことではないかもしれません。しかし真っ当な生き方を願うことは誰でもできます。

「夢なき者に理想なし。理想なき者に計画なし。計画なき者に実行なし。実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。」この吉田松陰の名言の如く、こうありたい、こうなりたいという夢を諦めず、真っ当な生き方を願い、夢を持ち続け地道な努力を続けていくことが、事の本質の改革改善に繋がっていくものと思っています。

広報あさひまち 2019年5月号より