町長歳時記 2020年3月_雪に耐えて梅花麗し

西郷隆盛について、「幕末、明治維新の元勲、政治家で軍人」ある事典にはこのように記載がありました。また、「薩摩藩の貧しい下級士族の家に生まれ、苦労を重ねながら成長し、天命に従い誠の道を歩み続けた西郷隆盛は、天というものは試練ばかりでなく、人に慈愛を与える存在であることを悟った」と別の書物に記されていました。

そんな西郷隆盛が詠んだ漢詩の一節「雪に耐えて梅花麗し」その意味は「梅の花は、冬の雪や厳しい寒さを耐え忍ぶからこそ初春に美しい花を咲かせ、芳しい香りを発する」これを人生に例えれば「人間は苦難や試練に耐え、それを乗り越えた時に大きく成長することができる」大成するには忍耐が必要です。人間は往々にして楽な方、易しい方に流れてしまいがちですが、この事実を知れば、楽なやり方、楽な生き方などできないのです。これは、市来家に嫁いだ妹「琴」の三男で、アメリカに留学する甥の政直に詠んで送った漢詩の一節でありました。

厳しい冬の期間、腐ることなく、日々、今日できることを黙々と努力できた者だけが、やがてやってくる「春」を謳歌することができます。「大いなる飛躍」の前には、必ず「逆境」「停滞」という不遇時代があります。不遇時代に力を蓄えることができた者だけが、それを爆発させる機会が巡ってきた時、「大いなる飛躍」を成し遂げることができるのです。

今日、新型コロナウイルスが世界で猛威を振るっています。このような時ほど、苦難や試練に耐え、今日できることを黙々と努力していく、そんな姿勢が将来につながることと思います。

広報あさひまち 2020年3月号より