2006年6月_堰の歴史 地域を守り伝えていくこと

山のざわめき。足音の一歩一歩が地面を軋(きし)ませ、土と葉と草と岩とが崩れ重なり被い積まれて、それが何百年の時を経て、今もこの地に受け継がれ、人々の生活の糧(かて)を築いている。それが山里の暮らしで、それが山里の掟(おきて)なのかもしれない。

何世代と受け継がれてきた土地は、水の歴史であった。水がなければ、その土地はただの土で、人々の生きる糧を与えはしない。今、その地の田に満々と水を湛(たたえ)え続ける堰は、江戸時代前半に築かれ、以後営々とその土地の人たちにより守り引き継がれてきました。

6月2日の午前中、町内太郎上堰を遡(さかのぼ)り、皆朱沢(かいしゅざわ)の取水口まで、産業振興課長と二人で足を運んでみました。全長約4キロのこの堰は、毎年太郎地区の男性が総出で水普請を続け守ってきた大切な堰です。水は命の源。取水口から700メートルが最大の難所で、草木に覆われた崖を這(は)うように切り開かれた幅60センチほどの水路が、所々崩れては土嚢(どのう)が積まれ、水路を塞(ふさ)ぐ土砂を払い、その土砂も、長い年月を経て土砂上げするには限界の高さまで達している箇所が、所々見受けられました。どのようにしてこの土嚢を積み上げたのだろうと思われるくらい急峻(きゅうしゅん)な崖に、一つの地域を守り続けることの偉大さに、改めて頭の下がる思いでした。

少子高齢化の急激な進展、労働人口の高齢化が進む中、いかにして地域を守り伝えていくことができるかが、今わが町に問われていく大きな課題です。


広報あさひまち 2006年6月号より

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更新日:2019年03月29日